第22話 あの不思議なエルフに関する考察
活動報告に休むとか書いときながら出来たので投稿します。
あ、でもこれから2週間は本当に投稿出来ません。
視点変更 ハイナ2世→アリア
「うわぁ……。」
「これはひどい……。」
サラさんとアルカさんが呆然と呟いている。 周りの観客もこの闘いに呆然としているようで、驚くくらい静かだ。 正直私は、レイさんならこれくらいするだろうとは分かっていたのでもう何とも思わない……慣れって怖いね。 とりあえずボッーとしている二人の目を覚まさせる。
「サラさん、アルカさん、大丈夫ですか?」
「……あっ、大丈夫だよ。 アリアちゃん。」
「まさか、レイちゃんがあそこまで強いとは……。」
「……まあ、まだ手は抜いてるとは思いますけどね。」
まず、これは間違いないだろう。 魔法一発二発で敵を汗一つかかないで倒してしまうような人だ。 本気を出せばもっとすごい魔法を使えそうな気がする……ペガサスも召喚できるし。
「ははぁ……レイちゃんがまさかここまで強いとは……。」
「アルカ、それ私がもう言った。」
サラさんとアルカさんのいつも通りの遣り取りをしているのを見て、ほほえましく思いながら私は、女王様の観客席に目を向ける。
「もしかして、女王様の気を引こうとしてるのかな?」
「……?どういうこと?アリアちゃん。」
私が、ポツリと呟いた言葉をアルカさんが聞き返す。
「あ、レイさんがあんなにわざと目立ったのは女王様に興味を持たれるためかなぁっと思っただけです。」
「まあ、レイちゃんの目的が女王様との面会だけなら気を引けば面会出来るかも知れないからそれもあるかもね。」
「……でも、レイちゃんそんなに考えると思う?」
「「……」」
私とサラさんでレイさんの目的を探っていたが結局アルカさんの一言で全てが結論が終わってしまった。 ……レイさん天然そうだもん。
視点変更 アリア→ハイナ2世
今日の試合は、勝ち抜き戦で一回戦を勝った人は二回戦がある。 私は、銀髪のエルフがやってくるのをワクワクしながら待っていた。
「ねえ、あの人は後何番目ですか?」
「……えーっと、後4番目です。 もう3回聞いてますよ女王様。」
「……す、すみません。」
楽しみにしすぎて、何回も隣の秘書に聞いてしまう。 私は、あのエルフがとても気に入っている。 大会が終わった後、彼女と話す方法が何かないかと考えていたが彼女が優勝できたら会食があるという事に気づき、とりあえず彼女の優勝を願うことにした。
「それにしても、彼女の使った、あの黒い穴はいったい何でしょうか。」
「分からないんですか?」
「私は、知りません。 女王様は?」
「すみません、私も彼女の使った魔法についてはよく知らないんです。」
「女王様も知らない魔法なら使い魔の魔法?」
「そう考えるのが妥当でしょうね。」
使い魔もモンスターだ私たちの知らない魔法を持っている者も少なくない。 あの黒猫もそういう使い魔なのだろう。
「後、彼女のあの運動能力も気になりますけど。」
「女王様もですか? 私も気になりましたけど。」
「普通に考えればエルフで飛び蹴りをしようだなんて考える人はいませんよ。」
エルフは他の種族に比べれば筋力が低いので1対1で闘うならまず接近戦で闘うなんて考えない。 彼女も使っていた弓や魔法で闘うのがエルフでは主流なので彼女の蹴りははっきり言うと異端児だ。
「本当に変わってる人ですね……もしかしてあの方はハイエルフなのかしらね。」
「また、女王様はそうやって……。」
秘書が呆れながらそんなこと在るわけがないと否定してるのを見ながらああいつも通りだな~っと思いつつ私は微笑んだ。
視点変更 ハイナ2世→黒猫さん
ご主人様は意外とあがり症のようだ。 大会の一回戦の時観客の前に立つまでずっとカチカチで足が不自然な動きをしていたので間違い無い。
「今度はどうしようかな~。」
『何が?』
ご主人様がまたアイテムボックスの前で悩んでいる。
「いや~、そろそろこの服にも飽きたじゃん?」
『じゃん?って言われても……。』
私の服なんて背中に乗ってる黒いコートしかないし彼女の服もワンピースとパジャマしか見たことがない。
「女の子がオシャレしないでどうする!っていう事よ!」
『よく分からない。』
思った事をそのまま口に出したらご主人様がちょっと変な物を見る目で見てきた……ちょっとムカつく。
「ずっと同じ服じゃダメ! もっとオシャレしなくちゃ!……つまりそろそろ別の服を着たい!」
『じゃあ、すれば良いじゃん。』
「そうは言ってもね……服が多くてどれにすればいいか迷っちゃうんだよ。」
『っていうかそれ、試合前に決める事?』
「……まあ、一応必要かな?」
『はっきりしろよ。』
大方、大会の緊張から逃げてるんだろうなぁと思いながらご主人様に助言をする事にした。
『これがいいと思う。』
「これ?黒猫さんの趣味って意外と……。」
『別に私の趣味じゃないし。』
「いや……でもこれはちょっと……。」
『着ないなら着ないで別に良いけどね。』
私は呑気に欠伸をしながらご主人様の元から離れる。 ご主人様は私の選んだ服を見ながら「あ、でもいいかも……。」っと呟いているのが聞こえた。 私の趣味ではないが気に入ってくれたようでよかった。 そう思いつつ私は二回戦が始まるまでゆっくり昼寝をするのであった。