第19話 様々な雑談
レオーナ……久々に出たのに……この扱い
視点変更 アリア→レイ
「派手にやったらしいね~。 噂はもう流れてるよ~。 魔導隊の結界をぶっ壊したエルフがいるって。」
決闘の後、俺はギルドに依頼完了を報告しにきていた。 結界を壊した後はエルフの学者らしき人にどんな魔法か聞かれたり。 アントシア卿が駄々をこねたので魔法を撃ちそうになったりと色々あった。
「いや~、アルカさんあれはたまたまですって。」
「たまたまだろうと魔法は凄かったらしいじゃない。 今じゃ精霊とは話せても精霊と一緒に闘うなんてもう出来ないよ。」
「な、何故精霊だと分かった!?」
「魔導隊の人が何人か結界を張っている時に精霊の声が聞こえたらしいよ。 っていうかその反応だと本当なんだ~。」
アルカさんめ中々の策士だな……。 俺がどう答えようか悩んでいると隣の受付からサラさんが話に割って入ってきた。
「こらっ! アルカ! 言いたくないことを言わせようとしない!」
「え~サラ気にならないの?」
「そんな事より早く報酬金を出す! もう確認は終わったでしょ!」
「は~い、え~っと報酬金は銅貨3枚だね。 今回の依頼によるランクの昇格は無しっと。」
アルカさんが銅貨を手渡してくる……こんな雑な管理で良いのか?っと後でサラさんに聞いたところ「アルカだから。」と苦笑いで返事された。
「あ、そうそう後闘技大会で何回戦えば良いか分かったよ。」
「一対一の勝ち抜き戦だっけ?」
「そう、全部で7回戦。 いつもなら10回戦くらいするんだけどね。」
「っという事は優勝しやすいという事ですね!」
「でも、Aランクの人が8人でるらしいよ。 それ以外はあなたを除くと全員Bランク。」
『ご主人様だけEランクだね。』
「あと使い魔持ちもあなたを除いて3人くらい出るよ。」
「ほほぅ。」
「アルカ、喋りすぎ。」
「は~い。」
サラさんに咎められたが、闘技大会について中々いい情報をもらった。 情報は戦いのなんちゃらと誰かが言っていたような気がする。
「ありがとう! アルカさん! じゃあね~!」
「どういたしまして。 アリアちゃんと黒猫ちゃんもさよなら~。」
「はい! また!」
『さよなら~。』
アルカさんに別れを告げギルドを出る。 さてこの後は何をしよう?
視点変更 レイ→レオーナ
「第1、2騎士隊はそのまま進め! 第1魔法騎士隊は遠距離魔法の準備!」
オルアナ王国から見て北に広がる高原、ここがヴァルズ帝国との長年の戦争で最も戦場になった場所だ。 東に広がる平原を渡ろうにも平原の主がいる影響で部隊に被害が出る確率が高いので滅多に平原を使う作戦は滅多に出ない(数回あったが)ので高原を中心に見張ることにした。
平原を見張ること数日、ついにヴェルズ帝国の独特な黒い軍服が見えてきた。 オルアナ王国の鎧とは対になる黒い鎧を着け、フードをかぶり頭蓋骨のような仮面を身につけているまるで死神のような服の兵が500……いや1000人近く一気に馬に乗って走ってくる。
「遂に来ましたね……。」
「ああ……。」
隣に居る若い騎士が声をこわばらせる。 任務は数回しかしたことも無いのにいきなりの殺し合いだ無理も無い。
「敵と衝突! 戦闘に入ります!」
「よし! そのまま戦闘に入れ! 私も出る!」
「団長自らですか!」
「当たり前だ! 組織の上に立つ者が前に行かなければ誰が着いてくる!」
私は、レイピアを鞘に入れ馬に乗り叫ぶ。
「第3、4、5騎士隊は私に続け! 第7魔法騎士隊以外の魔法騎士隊はできる限り魔法を撃て!」
「「「「「了解!」」」」」
さあ!この戦争に勝ち、仲間と共に生き残るぞ!
視点変更 レオーナ→彰
「よし、今日はここまで! 号令!」
「起立! 礼!」
今日も、授業が終わった。 俺はいつものようにバックには何も入れず高校から出る。 出てからしばらく歩いた所で後ろから声がかかる。
「お~い、彰! 一緒に帰ろうぜ!」
「……聡か。」
「相変わらず暗いな~。 ……やっぱり陸の事か?」
「……うるさい。」
大谷 聡高校に入ってからの友達だ。 こいつの良いところはいつも明るいところだ。 今はその明るさに安心する反面うざったくも思う。
「……まぁ、あの真面目でかわいくて男子から人気がある陸姫がいきなり何日も行方不明だもんな。」
「あいつが聞いたら絶対泣くな。」
「だな」
陸姫 この高校じゃあ有名な名だ。 この平凡な私立高校で好きな女子ランキングで1位、2位をいつも争う白崎 陸の通り名だ……一応男だが。 俺が一年の頃、好きな女子ランキングで一位を獲ったというある意味騒然とした出来事が一年のときにあり、この名が付いた。
「正直あいつがいなくちゃ俺のクラスの空気がかなり暗くなって困る。」
「女子からも人気だもんな。」
「あいつに告ったらレズ扱いされるけどな。」
あいつは美少女にしか見えない。 最近筋トレを始めたとか言っていたがどっからどう見ても健康志向の女子にしか見れなかった。 ……そういえば一年の頃からファンクラブが出来てたな。
「……なんだかんだ言って、あいつがずっとこの学年の中心だったな。」
「……ああ。」
あいつにそんな事いったら色々と怒ったりしてくるだろうけど、この学校の中心と言っても良いくらいの人間だった。 心は広く、優しく、いつも他人の為しか考えていない……俺からしてみれば人生に絶対損するタイプの人間。 それでもあいつは……
「理想的な人間だな。」
「……そうか? あんな苦労しかしなさそうな性格はごめんだな。」
「お前、殴るよ?」
「え?ちょ!?マジやめて!?グーはダメ!お前のパンチはマジで痛いんだって!?」
駅に続く通学路で一つの悲鳴がこだました。