第17話 初めての依頼
今回の話はちょっと自分で書いてて意味不明になったところがいくつかあるので分かりづらい所があると思います……すみません。
「……」
「……」
『……』
宿屋の部屋にいるのだがなんか空気が重い……主にアリアの周りが。
朝起きてからアリアがずっと黙っている。 俺がボケてもほっぺたをぺちぺちたたいても全く反応しない。 時々黒猫さんを見て顔を赤くして顔を伏せてしまう。 こ、これはまさか……。
「アリア、もしかして黒猫さんの事が……。」
「……?」
「……好きなの?」
「は?」
多分そうに違いない、高校ではさんざん女子から恋愛相談を受けていた俺だから分かる。 きっと夜に黒猫さんに抱きついたのはそれが理由だろう。
「い、いやレイさん?」
「分かってる、分かってる私の事は気にせずにどうぞ。」
「どうぞって何を!? 違いますから!」
『もしかしてアリア……。』
「違いますってば!」
アリアの突っ込みが宿に響くのであった。
「ふむふむ……じゃあ、アリアは黒猫さんがついついかわいくって欲望にかられて抱きついちゃったと。」
とりあえずアリアの言い分を黒猫さんと一緒に聞いていた。 アリアの理由はしっかりしていると思う(俺の中で)。
「……不本意ですが事実です。」
「まあ、黒猫さんの変身した姿はかわいいっていうのには同意するよ。」
「同意するんですか……。」
だって黒猫さんのあの姿はかわいすぎるよね。 うん、分かる分かる。
『そもそもご主人様の寝言がうるさいのが原因。』
「え?何か言ってたの?」
「色々と言ってましたよ。 アキラとか何とか。」
「……へ、へぇ~。」
アキラ……ああ、彰か。 柊 彰俺が高校生だった頃の数少ない男友達だ。 俺が「マジック・テイル」を始める理由を作った人でもあるから俺の中ではそこそこ重要?な人なのかもしれない。 確かに夢に出てきたような気がしなくもない。 彰も「マジック・テイル」をしており確かネコミミが特徴的な獣人族で盗賊だった。
「昔の友達ですか?」
「まあ、そんなもんだね。 少ない男友達の一人だったね。」
『ご主人様って友達いたんだ……。』
なんて失礼な事を言うんだこの使い魔は。
「……どうしてそう思ったのかちょっと聞きたいんだけど?」
『だって常識知らずだし……。』
「確か森の中で引き籠もり生活してたんじゃないでしたっけ?」
「うぐっ……ま、まあそうだけど。 友達くらいはいたよ。」
自分で決めた設定の事をすっかり忘れていたのは内緒である。
宿屋を出てギルドに二人と一匹で辿り着いた。 ギルドの中にある木製の掲示板があり、そこに依頼の書かれた紙がたくさん貼られている。 そこらへんは「マジック・テイル」の頃と変わらないようだ。 俺は、掲示板の依頼を眺める……ポーションの納品やライヴァン同盟までの護衛等の依頼がありその紙一つ一つに判子でE~Sのうちのどれかが押されている。
「色々あるね。」
「依頼受けるんですか?」
「まあ、大会まで暇だしね。」
何をしよう……ゴブリンの討伐Eランク……犬を探してくださいEランク……Eランクでも色々あるな。 俺は、掲示板の中の依頼の中から一枚依頼を選び、掲示板からはがす。
「よし、これにしよう。」
「……えーっと決闘の助太刀求む?」
「また決闘絡みですか?」
「……だって楽そうだしそれに今日までらしいからね。」
「意味わかりません。」
『というか何で決闘がEランクなの?もっと高いと思ったのに。』
「理由教えてあげようか?」
ん?後ろから何か声が聞こえてきたので後ろを振り向く。 振り向いた所には真面目な受付嬢のサラさんが立っていた。
「あ、おはようございます。」
「おはよ~。」
「おはよ。 そして依頼を受けるの?」
「はい!大会まで暇なので。」
『で、何でこの依頼のランクが低いの?』
ふむ……黒猫さんが聞きたいことを聞いてくれた。 決闘なんて中々やばそうな雰囲気のする依頼なのに何故Eランクなのか俺も聞きたかった。
「そりゃあ……決闘なんて言ったってせいぜい人対人じゃない。 人対モンスターの方が遙かに危険だから決闘は高くてもDランクくらいにしかならないのよ。」
「なるほど……。」
「まあ、それでも決闘の中には凄い冒険者と闘う事になったりするから危険かと言われたら危険ね。」
「ふ~ん……じゃあ、受けるよ。」
「了解。 これは今日までの依頼だからね。 とりあえず依頼者がユグドラシルの木の近くの広場で10時に待っているらしいからそこに行ってね。」
「うん、ありがとう! サラさん。」
「どういたしまして。」
『そういえば、依頼がちゃんと出来たかとかはどうやって分かるの?』
あ、そういえば聞いておきたいな。 「マジック・テイル」の頃はやればすぐに依頼が完了したからそこら辺分からないな。
「ああ、依頼者に依頼完了書っていうのを渡してあるから、そこに依頼が出来たっていうことを証明してもらってから受付嬢に渡してね。」
「はい、サラさん何から何までありがとうございます。」
「いやいや、アリアちゃん。 受付嬢ですから冒険者達に聞かれたことは何でも答えなきゃね。」
『なんというプロ根性……。』
「……常識じゃないですか?」
黒猫さんが変な所で関心しているのとアリアが微妙に呟く。
「レイさん……そろそろ10時じゃないですか?」
「えっ……ホント?」
『9時45分。』
「後、15分ね。」
「い、行くよ! アリア!黒猫さん!」
「え、ちょっ! 待ってください!」
『ご主人様って足速いよね。』
とりあえず俺たちは急いでユグドラシルの近くの広場に向かった。
走り続けて広場らしき所に辿り着く。 黒猫さんはもう来たようだが。 アリアはまだ来てないようだ。 広場には仲よさそうなエルフの夫婦と赤ちゃんがいる……とは言ってもどちらも20歳くらいにしか見えない。 エルフの見た目は20歳まではヒューマンと同じように成長し、それから成長が殆ど止まってしまうらしい。 ちなみに俺が若いって言われるのが見た目がエルフから見ても17歳くらいだからそうだ。
俺は広場を見渡して依頼人らしき人を探す。 決闘なんて言ったってそこら辺の男どうしの喧嘩程度だろうと俺は思っていたので若そうな男を探す。
「レイさん……速すぎます……。」
『アリア遅い。』
「黒猫さんは猫だからね~。」
息を切らしてやってきたアリアが合流してきたので捜索を再開する。 今いるのはエルフの夫婦と赤ちゃん、それとやや豪華なドレスを着たエルフの女性とヒューマンの執事らしき人……ヒューマン?
「ねえ……アリア。」
「は、はい?何ですか?」
アリアがまだ息を切らしているがちゃんと聞き返してくれた流石アリア。
「ハイナ教国のお金持ちの家には執事とかっているの?」
「まあ……執事とかはいますけど……大体がエルフですね。 ハイナ教国ではエルフが一番信じられる種族っていう状態ですから。 ヒューマンは珍しいですね。」
「よし!聞きに行こう!」
「何を!?」
「あなたが依頼主ですかって聞くんだよ。 こういうときは異常な姿をしている人は大体異常な悩みを持っているものさ。」
『分かったような……分からないような。』
黒猫さんが戸惑っているが俺はあえて無視して豪華なドレスのエルフに話しかけに言く事にした。