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第15話 冒険者登録と二人の受付嬢

「レイさん、レイさん大丈夫ですか?」


 自分がレズがどうか考えてから約1分。 アリアが先に思考が復帰したらしい。


「ん?ワタシハレズダヨ。」

「レズかどうかは放っておいてどうするか決めましょう!」

『っていうかレズって認めなかった?』


 とりあえず、レズかはどうか俺の中では女が好きだ!→だからレズでいいやという結論で終わった。


「レイさんは闘技大会に出るんですよね? 後ウイナさんはもう行っちゃいましたよ。」

「あ、ウイナさんに別れ言ってないね。」

「まあ、お礼を渡したからいいんじゃないんですか。」

『とりあえず冒険者ギルドに登録しないと大会に出れないんでしょう?』

「そうですよね……どうします?」

「登録しちゃおうか。」

「決断早!」

「だってしょうがないじゃん? 登録しないと大会に出れない。 大会に出ないと女王様に会えないんでしょう? だったら登録するしかないじゃない。」

『じゃあギルドに行くの?』

「まあ、今することはそれだね。」


 とりあえずすることも決まったし今からギルドに……。


「ギルド……何処だろ?」

「魔導隊に聞けば良いんじゃ無いんですか?」

「そ、そうだね。」


 アリアさん流石ッス……。





 首都ハイルズはルーブの町とは比べものにならないほど大きい町だ。 町の中心には大きな木が一本生えており、そこから大きな路地があり、蜘蛛の巣状になっていた。


「ねえ、あの木ってユグドラシル?」

「レイさん、一般常識はないのにユグドラシルは知ってるんですか?」

「一般常識はないって……。」


 流石に失礼だよアリア……。 さてあの大きな木……首都の真ん中にある大きな木……ユグドラシルというのだがあれは「マジック・テイル」にもあった。 確かエルフの種族専用の武器を買えたり、エルフの種族専用の魔法などを教えてもらえる。 エルフの隠れ里にあった木だ。 そこはエルフの種族しかは入れない里だった。 俺は「マジック・テイル」の時に何回も来た記憶がある。 それ以外にも火山の麓にドワーフしかは入れない集落があったり、見た目が明らかに悪魔な感じの種族である魔族のみが入れる城なんていうのもあった筈だ。


「いや、ちょっと昔ね。」

「昔?」

「そう、昔。」

「……まあ、言いたくないのならいいのですけど。」

「言いたくないこともあるのだよ。」

『あ、あれがギルドじゃない?』


 アリアと会話していると、目の前には真っ白な二階建ての木造の建物があった。 看板には英語っぽい字でギルドと書かれている。 今更だがこの世界の文字は英語にそっくりだ。 ちょっと癖のある英語のような形のため大体の言葉は読めた。


「ギルドっぽいね。」

「良く思ったら狼の集いの人達も大会に出るためだったんですかね?」

『さあ?』

「とりあえず私に勝負を挑んだんだから自業自得だね。」

「いや、一応お父さんの依頼ですけどね。」

「知らないよ~。 私に勝負を挑んできたのには変わらないもの。」


 わたしと勝負なんて60年早いわ!



 とりあえず二人と一匹でギルドの中に入る。 ギルドの中はカウンターのような場所がありそこにはかわいいドレスを着た女性が三人並んでいる。 それ以外にもテーブルと椅子が置かれており、椅子に座りながら酒のような物を飲んでいる人が何人か居た。 その、座っている人達が皆俺たちを見ている。 俺は無視してカウンターに立っている女性の中で一番巨乳な人を選んで話しかける。


「すみませーん。」

「あ、はいなんでしょう?」


 カウンターの女性はのんびりとした口調で俺に呼びかけてくる。 


「ここで冒険者として登録したいんですけど……大丈夫ですか?」

「はい、15歳以上なら誰でも登録できますよ。」


 この女性(多分受付嬢)は15歳以上ならいいらしいが。


「何か、確認とかしないんですか?」

「ここに来たのだから15歳以上でしょ? それにあなたはエルフですから確認しなくても大丈夫ですよ……きっと。」

「きっと!?」


 アリアが驚いた声を上げた。 そして、その受付嬢に対して隣のカウンターの女性が注意する。


「ちょっと、流石に一通り確認はしないと……いくらハイナ教でもそこら辺はしっかりしないと。」

「でも……。」

「でもじゃないの。 冒険者は一歩間違えば死んじゃうような大変な仕事よ。 その仕事の依頼の管理を任されているの、実力に見合わない依頼はこなさせないようにしなくちゃいけなかったりするんだからしっかりと確認はしないと。」

「は~い。」


 俺の前の受付嬢は隣のカウンターの人にに言われた後、少ししゅんとしつつも俺たちに話しかけてきた。


「え~と……じゃあ銀髪のあなたが冒険者志願?」

「はい!」

「黒髪のあなたは?」

「連れです。」

「じゃあ、黒猫は志願者?」

『んな訳ないでしょ。』

「「「「えっ?」」」」


 何故かテーブルから見ていた人達も驚きの声を上げていた。 盗み聞きしていたのか……。 しばらく黙っていたが隣の受付嬢の人が驚きつつも声を俺たちに掛ける。


「いや、まさか使い魔だったなんて……あなた達のペットかと。」

『ペットとは失礼な。』

「確かに失礼でしたね。 え~っと……ああ、これこれ。」

「何これ?」


 受付嬢のお姉さんが何処からかA4サイズの紙を取り出してきてこっちに渡してきた。


「これは?」

「この名前はね……何だっけ?」

「年齢検査紙ね。 名前はそのまんま何だからちゃんと覚えなさいよ。」

「うぅ……ごめんなさい。 えっと、これはこの紙の上に手を置いてしばらくすると紙の色が変わるの。 0歳から14歳は黄色、15歳から20歳は青色、21歳以上は赤色になるの。」

「じゃあ、手を置けば良いのね。」

「はい、その通りです。」


 俺は、紙の上に手を乗せる。 こうして見ると俺の手はかなり真っ白だと再度認識させられる。


「う~ん、そろそろいいかな?」

「意外と早いね、もっとかかるかと思ったよ。」

「昔は5分もかかかったのよ。 こういう所も技術が上がってるのよね~。」


 隣の受付嬢の人が感慨深そうに話す。 確かに紙の上にずっと手を乗せておくのは面倒くさいな。


「色は……青色ですから大丈夫ですね。 じゃあ、この紙に名前と得意な武器とかを書いてください。 種族はエルフ種ですよね?」

「ん?そうだよ、エルフ種だよ。」


 エルフ種と聞かれたので合っている。 俺はエルフではないがエルフ種ではある。 俺は紙に「レイ」と書き、武器には悩みつつも弓と書いておいた。 「マジック・テイル」の頃によく弓を使っていたから間違ってはいない。


「書き終わりましたよ。」

「はい、ではギルドカードを発行しますので30分程したらここに取りに来てください。」

「はい……あ!そうだ! 闘技大会に出場したいんですけど、何処で大会登録できますか?」


 俺の言葉を聞き、隣の受付嬢が少し不思議そうにしながら聞いてきた。


「もしかしてあなた……大会に出るためだけに登録するの?」

「はい!」


 俺が答えると、周りで俺の様子を眺めていた人達が笑い出す。


「おいおい、マジかよ……。」

「あんな小娘と戦いたいな……。」

「たくさんの観客の前でいじめるのか? やめとけよ。」


 なにやら周りがざわざわしている。 やっぱりこの姿だと相手になめられることが多いな……。


「本気? 闘技大会は優勝すれば金貨五枚っていう大金が手に入るけど、下手すれば死んじゃうし、相手はエルフだけじゃない、ライヴァン同盟やオルアナ王国からも冒険者は来るんだよ?」

「別に金貨五枚には興味ないよ。 私は女王様に会いたいだけだし。」

「女王様?……ああ!確か女王様と会食も望めばできるんだっけ?」

「いいよねぇ……。」

「あなたはギルドカードをしっかり作りなさい!」

「す、すみません……。」


 ギルドカードを作っている受付嬢の人がとなりの人に怒られているが、俺は話を続けることにした。


「私は、女王様とお話がしたいの。」

「なるほどね……確かにエルフの冒険者にはそういう事考える人もいるけどあなたみたいな若い子は初めてよ。」

「へぇ~。」

「あ!それならギルドカードを作るついでに大会の登録もしておくね。」

「本当ですか! ありがとうございます。」

「大会の登録は私がするわ。 あなたはギルドカードをちゃんと作りなさい。」

「は~い。」

「そういえばお名前は?」

「ん?私?私はアルカ!」

「もう……また手が止まっている! 私はサラよろしく。」

「よろしくお願いします!」


 おっとりとしたアルカさんと真面目に仕事をしているサラさん。 二人は中々仲が良いようだ。

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