第124話 黒の密談
視点変更 レイ→???
「やっぱり来ちゃったか……」
「どういう事かな?」
「ぼく」の呟きに黒い人達の中でも一際大きな男が話しかけて来る。 彼は黒い人達の王様だったみたいだ。 今でも彼を慕う黒い人は多い。 というかこの人が従っているかな仕方なく「われ」に従っているという感じだろう。
「ぼく」には見事に負けたけど、彼はいまだ部下に相当信頼されて居るみたいだ。
「君の部下で門番をやってくれていた人……えーっとバリアン?」
「バリエンスの事ですかな」
「そうそう、彼を倒した人達に警告をしておいたんだけど来ちゃったみたいだね。 何かでっかいモンスターを連れて」
「あれはジャイアントスパイダー……100年前には「悪魔」とすら呼ばれたモンスターです。 あれはわし等でも苦戦するでしょう」
「ふーん……」
「ぼく」は彼の言葉を聞きながら巨大な街みたいなモンスターを見る城からでも大きく見えるモンスターの周りには黒い人が集まっていて、まるで黒い雲に覆われているようだが、まだまだ陥落する気配はない。
「あそこに、わしも行くべきかな?」
「いや、それよりも4人位の人が城を目指しているよ。 あっちと戦ってくれない?」
「……大将を狙っていると?」
「多分ね。 南に送った君の部下が帰って来ないし、「われ」の事知られちゃったかな~」
「ぼく」の言葉を聞くと、彼はしばらく黙り込む。 そして、「良いでしょう」と応答した。
「分かりました。 わしは下の敵を倒しに行きましょう……ただし」
「ただし?」
「わしの家族を愚弄すると、ただじゃおかんぞ」
「ぼく」が彼の言葉をからかい気味に返すと、鋭い殺気と共に声が飛んでくる。 「ぼく」はそれに対してにっこりと笑う。
「うん、来なよ。 「われ」を殺せるなら大歓迎だ」
視点変更 ???→アリア
「第5班、敵の数が多いです! 援護を……!」
「ぐおおぉぉっ!」
「マイク! マァアイク!」
魔族がジャイアントスパイダーの周りを取り囲み、戦いは本格的始まった。 騎士と魔導隊はモンスターを中心に攻撃をしているが、魔族単体での能力の高さにかなり苦戦している様子だ。 だが、ジャイアントスパイダーの体から出る砲撃やレイさんの残していったモンスターには、魔族達も苦戦しているみたいだ。レイさんの出したモンスターは戦況が厳しい所へ向かい攻撃を援護。 また別の所が危なくなったら移動して……といった感じでギリギリの状況を維持している。
「アリアちゃん! 回復薬と塗り薬を持ってきて!」
「は、はい!」
そんなジャイアントスパイダーの上で私は建物の中を走り回っていた。 私は今、魔導隊の治療隊の手伝いをしている。とは言ってもやっているのは魔導隊のあ医者さんの所へ薬品置き場の薬を持ってきたり、血で濡れたタオルを洗ったりという仕事です。 私は指示された薬の瓶を木箱の中から取り出し、お医者さんの元へ急ぎます。
「はい、回復薬と塗り薬です」
「ええ」
お医者さんは私から薬を貰うと倒れている騎士の傷に薬を染み込ませた布を当てます。 すると傷に染みたのか、騎士が大きな悲鳴を上げる。
「ぐおおおぉぉおおっ!」
「ひっ」
「意識が有るしまだ大丈夫ね……。 このまま包帯を巻くわ。 アリアちゃん手伝って」
「は、はい!」
お医者さんの指示に従って2人で包帯を巻いていくがその時に騎士の方が傷ついた魔導隊の肩を持ちながら、やってくる。 ……戦いが始まってから私たちの所でもう7人目。 私たち以外にも治療班は3つ有るけど、怪我人が多い気がします。
私が手伝っているお医者さん以外にも治療が出来る人は数人居ますが、その方達は重傷者の治療中。 なので私のお医者さんが魔導隊の方を見ます。
「酷い切り傷……意識も殆ど無い」
「そ、そいつ。 魔導隊なのに俺を庇って……ど、どうにか治せないんですか!?」
「……難しいわ。 でもやってみる。 あなたは元の配置に戻って下さい。 ここが攻められれば治療が出来なくなりますので」
「はい! お願いします!」
騎士の方はそう言うと、居たる場所で爆発音のする外で勢いよく、何の抵抗もなくまっすぐに出て行った。 ただ、勝つために。
「アリアちゃん、回復薬と包帯を。 今回は時間が掛かるわ……」
「はい!」
お医者さんの目もまっすぐに患者を見ていた。 周りが爆発音と患者のうめき声、そして騎士や魔導隊の指示や悲鳴で騒がしい中、怪我の様子だけを見ている。
私も集中しなきゃ、自分の出来る事をしなくちゃ。 大丈夫、レイさん達は生きて帰ってきてくれる。 そう思いながら、私は薬を運ぶ。
「持ってきました!」
「ありがとう、じゃあ手伝ってくれる?人手が足りないから……」
「はい!」
私の言葉にお医者さんはどこか気持ちが楽になったような表情をする。 目の前の患者は体を剣か何かで斬られたのだろう。 斜めに深く切り傷がある。 それ以外にも右腕にはひどい火傷。 そして顔色はかなり悪い。
村で時々モンスターに襲われた大人で怪我を見たことは有るが、それよりもずっと酷い怪我だ。 そのままにしておくと死んでしまうのは時間の問題だと私でも分かる。
「治せるんですか?」
「分からないわ。 でもやるしかない。 生きられる人なら、助けたい」
そう言った彼女の目には一切の躊躇いがない。 ただ助ける。 その1つの思いがはっきりと分かる。
「そうですね! 手伝います!」
「助かるわ、まずは回復薬を口からゆっくり飲ませて、私がその間に……」
指示を受けながら私は手を動かす。 自分のすることを必死で頑張る人の為に、それが今の私に出来るレイさんへの最大限の応援で、援護だと思ったから。