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第117話 余り良くない再会

視点変更 レイ→アリア


「……何にも有りませんね」


 レイさんがオルアナ王国の騎士達と話している時、私が周りの景色を見て思った感想を呟く。

 ヴェルズ帝国は地面が一面真っ白になっており、近くを見渡しても高い山などは見当たらない。 おかげで落ち掛けの夕陽と大地の雪以外色の無い神秘的だが寂しさを感じさせる風景になっている。


「「魔神」の力でこうなったのでしょうか?」

「多分そうだよね~」

『私が来た時はこんなんじゃなかった』

「え? 黒猫さん来たこと有るの?」


 ネイが黒猫さんの言った言葉に目を丸くする。 そういえば黒猫さんって私達と仲間になるまでどうしていたのかさっぱり分からない気がする。 黒猫さんの事だから街とかで野良猫みたいにのんびりと暮らしているイメージが私にはあったが、ヴェルズ帝国にいたというのは意外と凄い事していたのかも……。


『まあ、ふらふらっと』

「ふらふらっとで来る場所じゃないと思うよ……で、どうだったの? ここ」

『ここら辺にも草木位は有ったし、人も居た……まあ、捕まりそうになったから良い思い出は無いけど』

「そ、そう……」


 黒猫さんの抑揚の無い声を聞き、ネイが苦笑する。 けどここに草木が有ったなんてとても思えない。

 私が周りを少し寂しく感じながら見渡していると急にレイさんの大声が耳に入ってくる。


「あ! エセ貴族!」










視点変更 アリア→レイ


「誰がエセ貴族だ。 相変わらず失礼な女だ」


 私がレオーナに「魔族のせいで世界がヤバい!」という事を話していた時、たまたま目に入った男の姿に声を上げてしまった。 そこには金髪で派手なマントが特徴的なエセ……ウザ貴族のバルテンが俺の声に不愉快そうに俺を睨みながら反応した。


「……何でこんな所に居るの? 闘技大会で負けて意気消沈して家に帰ったと思ったのに」

「闘技大会で負けたからだ。 元々負けたらこっちに来る予定だった」


 俺の顔を見ながらため息をつくバルテン。 こいつは本当に貴族なのだろうか? ネイや筋肉ドワーフのダイナンより冒険者らしい気がする。 何でバルテンがここに居るのだろうと考えていると頭の中にアルカやサラ達と会話していた事を思い出す。 確かリヴィル家に名誉だとか何とかとギルドで言ってたとか……。


「……もしかして家の為って奴?」

「!」


 俺がバルテンにそう言うと彼は顔をわかりやすく驚きの表情に変え


「……貴様には分からんさ」


 と呟いた。 彼の隣にいたレオーナもなんかバルテンに向けて複雑な表情をしつつも何かに納得している。


「そうか……そういう事か」


 ……何か2人だけの世界が構築されつつあるぞ。


「ねえ、バルテンの話とか正直どうでも良いから「魔神」の話に戻って良い?」

「そ、そうだな……ヴェルズ帝国に「魔神」というものがいるのだろう?」

「そうそう」


 俺とレオーナが話に戻る。 すると俺の言葉を聞いたバルテンは何かに反応した。


「「魔神」? それはこの前の魔族や謎の青年と関わりがあるのか?」

「え、魔族? 青年? 何それぇ?」


 今度は俺がバルテンの言葉に反応し、レオーナに尋ねる。 すると騎士団長は俺に困ったような顔を向ける。


「ああ、つい先日私達が首都付近に到着した時バリエンスと名乗る魔族と戦闘になった。 それは【召喚】で何とかしたのだが……」

「その後、「首都へ入るな」と言ってきた変わった青年と遭遇したのだよ」

「「首都へ入るな」……?」

「ああ」


 そういう事を伝えてくれるって事は悪い人ではなさそうだ……けど団長やバルテンの顔はそんな俺の考えを否定している。

 俺が2人の顔色を窺っているとバルテンが俺に口を開いた。


「話は変わるがレイ、魔導隊はこれからどうするつもりだ?」

「え? それは魔族や「魔神」と戦うために首都へ向かおうかと……」

「おい、どうしてヴェルズ帝国に入る前に魔族や「魔神」とやらが居るって分かってんだ?」

「それはレオーナに言ったよ。 ライヴァン同盟で魔族と戦ったの。 そこで戦った魔族からヴェルズ帝国に「魔神」っていうヤバいのが居るって聞いたの」

「で、お前はここへ「魔神」や魔族と戦ったのか……?」


 バルテンから質問を浴びせられた後、凄まれながら聞かれる。 何というか少し必死な感じがする。


「う、うん。 まあ、そうなるね」

「そうか……レオーナ、私としてはヴェルズ帝国へ魔導隊と共に騎士団を進めた方が良いと思う」

「本気か?」

「ああ、騎士団はそもそも首都へ進まねばならない。  ならば行くべきだ」

「だが、レイの話が本当ならヴェルズ帝国にはもう帝国の兵は居ない」

「それで国王が納得するとでも?」

「……しないな」


 また2人の世界に入って話をし始めたので俺は近くに来ていたナハトに話し掛ける。


「ねえナハト、騎士団とはどうするの?」

「とりあえず敵対関係にならなければ良い……といった感じですね」

「まあそうだよねぇ」


 協力はしなくても敵にならなければ良し……まあ、騎士団からすれば魔導隊が漁夫の利を取りに来たと思われるかもしれない。 だが団長やバルテンの反応からするととりあえず敵になるというのは無さそうだ。


 何て考えているとレオーナが俺の方を向く。 どうやらバルテンとは話がすんだようだ。


「……とりあえずもっと細かい話がしたい。 私達のテントまで来てくれるか?」

「だって。 ナハト、どうするの?」

「応じます。 レイ様も来ていただけますか?」

「え? 良いけど役に立たないよ?」


 どうやら話し合い次第で協力をしてくれるらしい。 俺にそういう駆け引きみたいな能力は無いので俺はナハトに任せようとしたがナハトに呼ばれてしまう。


「いいえ、「魔神」や魔族に詳しいのはレイ様です。 それにもしもの時にはレイ様の力が必要になるかもしれません」

「もしもの時って?」

「あちらの部下に攻撃されそうな時などに……」

「それ壁って言うんじゃない?」


 ナハトは俺の言葉に対して曖昧に笑ってスルーする。 ……冗談だと思いたい。


「大丈夫です。 レイ様なら仲間を守る前に敵を倒す素晴らしい壁です」

「それ盾なの? 別の凶器じゃない?」


 ナハトは俺の言葉を笑顔で堂々とスルーして歩き始めた。 ……色々言いたいがそれを呑み込んでナハトの後を歩く。 ……ナハトの中の俺のイメージはどうなっているのだろうか。 少し不安になりながらついていくのであった。

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