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第9話 キモイのは苦手です……。

「う~ん、馬車も中々いいねぇ~。」


 シムルグで空を飛んで移動するのもよかったがゆっくり地上を歩くのも中々いい。 今は森を抜け草原を馬車はゆっくりと歩いている。


「やっぱシムルグよりはこっちの方が私はいいですね。」

「地面に足が着いている方がいいの?」

「まあ、そういうことですかね。」

「スレイプニルとかは良いの?」

「……多分無理です。」


 とりあえず俺は【補助 探知】で自分の半径500mを見張る。 中にモンスター等の反応があれば感覚で分かるようになっている。


「商人さん、今のところ周りにモンスターはいませんよ。」

「ん?お嬢ちゃん何か魔法でも使えるのかい?」

「まあ、使えますよ。」

「へぇ~それなら護衛してもらって正解かもしれないな。」

「そうでしょう、そうでしょう。」


 俺は胸を張って答える。 こうした後に自分の胸の大きさを自覚して、軽くうなだれる。 そういえば女だったと……。


「そういえば、商人さん。 後どのくらいでシイラ村に着きます?」

「う~ん、大体二、三日かかるかな?」

「二、三日かぁ~。」


 中々時間がかかるな~。 やっぱスレイプニルを使った方が早いかな?


「とりあえずレイさん。 変なモンスターは召喚しないでくださいね。」

「変なモンスターは召喚しないよ! かっこいいモンスターを出すだけだよ!」

「そこが問題です!」


 いつものやりとりをしながら馬車に揺られながら進むのであった。



「そういえば、何を運んでいるの?」

「ああ、ライヴァン同盟から買った、武器をハイナ教国の魔導隊や冒険者に売るんだ。 剣はエルフ達にはそんなに売れないが、エルフ以外の冒険者も首都にはいるからな。」

「へぇ~。」


 エルフは他の種族に比べて物理攻撃力と物理防御力が少ない。 その分魔法攻撃力と魔法防御力は他の種族に比べて高い方だ。 そのせいか「マジック・テイル」の頃から剣士になるエルフは俺くらいしか見たことがない。 そういえばオルアナ王国の騎士団長は剣士だったな、風変わりなイケメンもいたものだ。


「レイさんって武器色々持ってますよね?」

「ん?まあ持ってるよ? いきなりどうしたの?」

「いや……前は弓を使ってその後は杖……他にどんなのを使うのかな~っとふと思っただけです。」

「う~ん、他には……剣も使うしナイフも使えるし、銃も撃つし、鞭もあるし、槍だって使えるし……大体の武器は使えるんじゃないかな?」

「どんだけ武器あるんですか……。」


 まあ、エルフマスターは伊達じゃないね。


「ん?商人さん。 前方にモンスターが五匹くらいです。」

「なんだ?魔法に引っかかったのか?」

「そんな感じです。」


 まだどんなモンスターか分からないが、破邪の弓をアイテムボックスから取り出す。


「どうするんだい?お嬢ちゃん。」

「そのまま前進してください。 こっちに来る前にに全員倒します。」

「レイさん出来るんですか?」

「もっちろん!」

「本当に出来るのかい?」

「レイさんが出来るって言ったので出来るんじゃないですか?」


 モンスターとの距離が約200mくらいになったところで【補助 ホークアイ】を使う。


「うわっスライムじゃん。」

「強いんですか?」

「いや、キモイ。」

「そ、そうですか。」


 「スライムをキモイで片付けられるのか……。」と商人が呟いているが無視する。 スライムはレベル5からレベル40くらいのモンスターもいる序盤によく見るモンスターだ。 だがド○クエのようなかわいい姿はしておらずとにかくキモイ。 表面がやけにテカテカしてる。 「マジック・テイル」の時もきもかったが現実に見るとかなりキモイ。 

 あまり見たくないのでさっさと済ませようと。 矢筒から矢を取り出し、弦を引く。


「【奥義 レインアロー】」

「奥義使うほど見たくないんですか!?」

「だってキモイじゃん?」


 矢を上空に飛ばす、その後矢が何百本にもなってスライムに襲いかかる。 まあ、一発当たればスライムくらいなら倒せたんだけどね。 でも、キモイじゃん?


「お嬢ちゃんすごいね……。」

「キモイのを倒すにはこれくらい必要です。」

「そんなに嫌ですか。」

「もちろん!」

「……まあお嬢ちゃんが護衛してくれて本当に助かったな。」

「スライムってそんなに危険何ですか?」

「まあな、全然ダメージが効かないからあまり好んでする人はいないな。」

「ふーん。」


 ちなみにスライムを倒したところを通ったらスライムはなんか緑色の液体になっていました。




 二日後、俺はまだ馬車に乗っていた……当たり前か。 ちなみに夜は黒猫さんが見張っていたおかげで俺の貞操の危機は特になかった。 まあそんな事しそうな人ではなかったし。


「そろそろ着きますよね?」

「ああ、シイラ村にはそろそろだな。」

「そろそろですか……。」


 アリアが緊張した顔をしている。


「ようやく風呂には入れるよ!」

「そこですか!?」

「大丈夫だって! あなたの両親は分かってくれるって!」

『そうそう。』

「もしもの時は実力行使さ!」

「レイさんが言うと軽く村が吹き飛びそうですね……。」

「……なんか分からんが家出でもしてたのか? とりあえず村の入り口が見えてきたぞ。」


 見えるのはまだ小さくしかみえないが木の柵で覆われている村が見えている。


「さあ!アリアを巡る戦争だ!」

「何ですかそれ!?」

『おー。』

「黒猫さんもやる気満々!?」


 俺はアリアの友達だ。 アリアがしたいようにするのを手伝うのは当たり前だ。


「……良い友情じゃねえか。」

「ん?何が?」

「なんか知らんがそこのお嬢ちゃんの為に頑張るんだろ?」

『その通り。』

「いいねえ、青春だねぇ。」


 ゆっくりとシイラの村が大きく見えてくる。 【補助 ホークアイ】で見ると絹のような服を着ている大人が二人、門の入り口に建っている。 二人ともエルフだ。


「あれ?魔導隊じゃないんだ?」

「ん?ああ、魔導隊は国境付近や首都にしかいないんですよ。 数が少ないですから。 多分村の大人の人ですよ。」

『っていうかどうやってあそこから人を攫ったんだろ?』

「……確かに。」

「ああ、ヴェルズ帝国の人さらいには変わった魔法を使える奴らがいるらしい。 何でも一時的に意識をなくすんだとか。」

「商人さん詳しいですね。」

「こうやって物を運んでいれば色々と情報が聞けるのさ。」

『ふーん。』


 正直黒猫さんにはそんなに興味がないようだ。 ゆっくりと近づくと、エルフの人が近づいてきた。 大人といっても見た目は20歳くらいにしか見えない。 これは「マジック・テイル」の公式設定でも書かれていたが20歳まではヒューマンと同じように普通に歳を取るがそれ以降はかなりゆっくり成長し寿命は200歳くらいあるそうだ。


「よっウイナ。 首都に行く途中か?」

「ん?まあな。 後お客様もいてな。」


 あ、商人さんの名前はウイナって言うんだ。 初めて知った。


「お客様? その隣にいる二人の少女……ってアリアじゃないか!」

「どうも。お久しぶりです。」

「戦争をしにきました。」

「は?」

「レイさん、言うことがおかしいです。」


 とりあえず村人に事情を説明した。


「う~ん、アイウス神父が納得してくれるかね~。」

「……やっぱり厳しいですよね。」

「ああ、あいつは娘に甘いが危険なことはさせたくないって奴だからな。」

「ああ、頑固親父か。」

「まあ、そんなもんだ元々旅をさせるってなれば大抵の親は反対するさ。」

「……やっぱり実力行使しかないかな~。」

「とりあえず父さんに会って説得ですかね。」

「まあ、がんばりなお嬢ちゃん達。」

「ええ、お世話になりました。」


 商人さんと柵のところで別れる。


「そうだ!ウイナ。」

「何だ?」

「今、ヒューマンの個人ギルドの人達が泊まってる。 もしかしたら売れるかもしれねえぞ。」

「ホントか? ありがとう!」


 個人ギルドとは依頼などを受けることが出来る冒険者ギルドとは違い。 個人で集まって冒険者ギルドの依頼などを受ける人達の集まりだ。 「マジック・テイル」でも個人ギルドを作り、みんなで国同士の戦争に参加したり。 城や家などを拠点にし、みんなで集まったりすることも出来る。 時には拠点を襲撃されることがあるため防衛したり……といった事が出来る。


「なんて名前のギルドですか?」

「ああ、狼の集いだったかな? オルアナ王国ではそこそこ有名らしいな。」

「へぇ~……あれ? どうしてオルアナ王国の冒険者がハイナ教国に居るの?」

「一応冒険者ギルドはオルアナ王国とハイナ教国のは一緒のギルドなんですよ。」

「国は違うのに?」

「ええ、何でも国の政策には従わないで民の為に働くとか。」

「いい心がけだね。」

「そろそろ行きましょうかレイさん。」

「そうだね。」

「頑張ってアイウス神父の頭を柔らくしてくれよ。」

「頑張ってみま~す。」



 村の方へ二人と一匹で歩く。 さあ、戦争だ!……流石に実力行使はさけたいけどね。


 追記 そういえばアリアの父親アイウスって言うんだ。 初めて知ったよ。


 


 



 

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