第0話 男の娘とかプロローグとか説明とか
これは初投稿の作品です。 文字が抜けていたり、表現がおかしかったり、投稿がおそくなってしまったりするかもしれません。 それでも見ていただけたら幸いです。
ふと目を開けると光が溢れていた。
「あれ?」
ふと疑問に思った。 おかしい、俺は今日、休日だというのでMMORPG「マジック・テイル」をやり深夜2時頃に寝たはずだ。
この「マジック・テイル」は4年前に登場した剣と魔法のRPGである。 だが米国の軍隊に使われたVRというのを使いあたかも本当にゲームの中にいるような気分にするらしい。 「マジック・テイル」はその新機能を使った事により評判を呼び、いまじゃ日本最大のMMORPGとなった俺は「マジック・テイル」のβテストの頃からやっている。 今じゃ俺は最古参といってもいい廃プレイヤーである。
とりあえず起きて現状を確認しようと起き上がった。 周りは富士の樹海……というより某狩りゲームのフィールド出てきそうな森が広がっていた。
「……なにここ?」
そう呟いたところでふとおかしい事に気がついた。
声が高い。 普通の俺も男の中では声が高い方だがこの声は鈴が鳴ったような声で呟いた。
よく見れば自分の服装や体もおかしい。 着ている服はそのまんまワンピース。 そして男なら普通持っていない大きな二つの膨らみが……
「はい!?」
胸がある!? 顔が女らしいと言われ続けた俺が少しでも男らしくなろうと筋トレを続けていたのに筋肉の代わりに脂肪の塊に!? これでは本当に女だと言われてしまう!
慌てて自分の胸以外の体を触りまくる。 男らしいがっしりした腕が柔らかくなっている! 足も細くほっそりとして真っ白くなっている……俺の日焼けしまくりの男らしい足が……すね毛は元々なかったけど。
そして髪は腰まであり、サラサラした銀髪。
完璧に女になってしまっている。 それ以外には耳がなぜか細長くなっている……ん?細長い耳、腰まで届く銀髪、そしてどちらかと言えば大きめの胸……この姿まだ顔は見ていないがどこかで知っているような気がする……とりあえず男らしくなろうとしていたが何故か女になっている自分の体にテンションが下がりつつもこの樹海のような場所から出ようと思った……流石にこんなところに人はいないだろうしな。
俺の名前は、白崎 陸高校2年生16歳。 いまさら自己紹介してもやや遅い気がするがしておこう。 俺は生まれつき顔が女らしかった。 そのせいで男子にはからかわれ続け女子に「かわいい」なんて言われてしまうような男だ。 ちなみに中学の頃の部活は家庭科調理部に入っていたおかげで男子よりも女子のほうが友達が多いという状態になっていた。 なに?羨ましい?ふざけるな!修学旅行の部屋割りで男子から「そういえば白崎って、男子だったな」とか言われて三日間落ち込んだ事もある俺に謝れ!
こんな嫌な記憶を俺は誰に説明してるんだ?テンションが落ちてるせいで何かとナーバスになっているのかもしれない……
周りから黒いオーラが出てるかもしれないなーっと思いつつゆっくりと歩くと湖が見えてきた。 周りには木々がないから時々人が来てるのかもしれない。
「お、ここなら」
湖に近寄って湖面に顔を近づける。 湖に映った自分の顔は感嘆と驚愕と予想していた事が当たってしまいなんかひどい顔になっていた……ここまでひどい顔は好きな女の子に告白したら「私、男の子がすきだから……あ、陸君は男の子か」といわれたとき以来かもしれない。 とりあえずため息をついた。 湖に映った顔は、優しさと冷静さを併せ持った、笑顔が似合いそうな少女の顔をしていたが、目は水色に近い色をしていて、長い銀髪と普通の人間には見えない細長い耳。 俺は、つい湖の中の少女の前でボソリと呟いた。
「やっぱりレイになってる」
まあ、レイっていうのは「マジック・テイル」での俺のアバターだ。 中学二年生の時、数少ない男友達に誘われβテストに行った。 正直MMORPGは初めてだったが。 とことんハマった。 その時に作ったアバターがレイである姿は湖に映った自分と全く同じ姿でエルフの女性に設定した。 何故女性にしたのか?……まああの頃は精神的に鬱でこんなに女らしいなら女で生まれてくればよかったのに……とか思っていたからせめてゲームでは女でいようと思っていたのだ。
「……ネエ、ネエッテバ」
「ん?」
湖の水を飲みつつこれからどうしようかと考えていると何か声のような者が聞こえる。 周りを見渡すが誰もいない。
「……ナニシテルノ?……アア、ザンネンダケドミエナイヨ?」
「……え?ああ、精霊か」
精霊……まあ簡単に言うと大地のエネルギーの塊のようなものだと「マジック・テイル」の公式HPには書いてあった。 エルフ系の種族専用のスキルで「対話」というのがあり、精霊の多い場所(森など)にいると精霊と会話する事によって遠くにいる魔物やプレイヤーの場所がわかるというスキルがある。 たぶん精霊が自分をエルフ系だと分かって話しているのだろう。
「何か用かしら?」
いつもの俺はこんな喋り方をしないが。 この体がレイであると分かるとついつい「マジック・テイル」の時の喋り方になってしまう。
「アナタハイセカイカラキタ?チガウ?」
「え?なんで知ってるの?」
「ダッテワタシタチガヨンダカラダヨ?」
「あなた達が呼んだって……私を?後なんでこんな姿?」
なぜレイの姿なんだろう?……まあ実は少しはうれしいのだが。
「ソレハ、コッチノカラダノホウガツクリヤスクテセツメイシヤスイカラ」
「説明しやすい?」
精霊の話によると、俺の元居た世界にあったMMORPG「マジック・テイル」はこっちの世界の100年前の姿、形、魔法、国、政治の状態などがそっくりだったらしい。 その影響かどうかは分からないらしいが世界どうしが惹かれ合ってぶつかる寸前にまでなっていたらしいが神様達ががんばって少し遠ざけたらしい。
「もしぶつかったら?」
「フタツノセカイガブツカルト、ブンメイガマザッテタイヘンナコトニナッテタ」
のどかな草原にいきなりビルが建ったりしていたかもしれないそうだ……
「アンシンシタノモツカノマ……コノセカイニマジンガデテクルカモシレナイノ……」
「魔神?世界征服でもしてくるの?」
「ウン……」
最近隣の大陸闇の力を使い、大陸統一をし、「魔神」と言われている人がいるらしい。 そしてその「魔神」がさらなる土地を探しているらしい。 まだこの大陸は見つかっていないが時間の問題らしい。 闇の力は、木々を枯らせ水を黒くし、空は太陽が見えなくなる程暗雲が覆うらしい。 そうなれば精霊はみんな消えてしまうらしい。 だが「魔神」に対抗できる人はこの世界にはいない。 100年前にあった戦争でMMORPG「マジック・テイル」では当たり前だった魔法やスキルは今の人々は使えないらしい。 そこで、精霊達は神々と交渉して遠ざけていた俺の居た世界の「マジック・テイル」をしていた人達から一人選んで、こっちの世界に連れてきたという事らしい。 さらに神様が「マジック・テイル」の装備、魔法、スキル、姿などはこっちで作った方が色々と楽だからという理由で魂だけを持ってきたらしい。
「何で、私が選ばれたんですか?」
「セイレイトカイワガデキルエルフデ、イチバンツヨイカラダヨ」
「……ああそういうこと」
精霊と会話が出来るのはエルフ系の種族のみ、さらにエルフ種で一番強い俺が指名されたらしい……
「マジック・テイル」には種族と職業がある。 種族というのはヒューマン、エルフ、ドワーフなど様々な種族があるが、英雄度を使うと上位種になれたりする。 ちなみにギルドの依頼を解決したり、国に貢献したりすると英雄度がもらえる。 たとえば、エルフの上位種にはホーリィエルフ、ダークエルフ、さらにその上位種にハイエルフがある。 ホーリィエルフ、ダークエルフは英雄度を使うだけでなれるが、ハイエルフはエルフ系の種族がなれる上位職全てをカンストのレベル500にしなければいけないという。
職業は、剣士、魔法使い、僧侶、狩人、格闘家などがある。 職業はレベル一定まで上げたり上位種でなければいけないなどの条件がある。 さらに面倒くさいのがホーリィエルフ、でしかなれない職業やダークエルフでしかなれない職業があったりする。 ちなみに転職は魔法使いから剣士になるということもできるがレベルは1になる。 だがまた魔法使いになると魔法使いだった頃のレベルになる。 つまりハイエルフになるには英雄度を使いホーリィエルフになり、上位職をレベル500まで上げ、さらにダークエルフになるために英雄度を使いダークエルフでしかなれない上位職になるという行程が必要になる。 だがこの行程が済むとエルフの最上級職のエルフマスターになれるようになる(エルフマスターになったらまたレベル1からレベル上げになるのだが……)。 エルフマスターになると元々上位職で手に入れたスキルを全て使え、エルフが着れる装備全て装備できる。 このエルフマスターになった(さらにエルフマスターのレベル500)のは俺だけである。 ちなみにたった4年間でエルフマスターになれたのには理由があるが後々説明しようと思う。
「じゃあ、今の私はハイエルフでエルフマスターでレベル500で全ての装備を持っているってこと!?」
「ウン、ソウダヨ?カミサマがヨウイシテクレタヨ」
俺の4年間が意外な形で有効活用されたのであった……。