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冬うらら2  作者: 霧島まるは


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結婚式:ブーケトス-4

 招待状が来ていた―― 鋼南電気の社長からだ。


 シンは、封筒の差出人を眺めていた。


 年下だが、面白いソフトを作ることで有名な男である。


 ついでに言うと、同業者の中には、彼をよく思っていないところも多い。


 彼の、強引な経営手腕が問題らしい。


 賛否両論、はっきり別れる男だ。


 仕事柄、何度か顔を合わせているが、別段シンと問題が起きたことはなかった。


 それどころか、静かな態度での対応ばかりだ。


 ライセンスの件で鋼南の本社にも訪問したが、会社全体もいい活気に満ちていた。


 そんなところから、おそらく会社の立場上の義理ではあったろうが、招待状が届いた。


 相棒は、『別に無理して出る必要はありませんよ』と言ったが、イヤだとも思わなかったので、出席することにした。


 普通は、披露宴だけ呼ばれるものだったが、式にも呼ばれていたので、彼は教会に現れたのだ。


 締め慣れない白いネクタイの自分を、鏡で見た時、違和感は禁じ得なかった。


 しかし、それはきっと周囲の男たちは皆そうだろう。


 日常で、締める色ではないのだから。


 式は、とどこおりなく終わった。


 違うところと言えば、普通と比べてやや騒がしかったくらいか。


 しかし、シンにとっての事件は、その後で起きた。


「雪…か」


 冷えると思ったら、風がうなるようにしてそれを連れてきたのだ。


 雪の日に、1人の女と別れたことを思い出す。


『言いたいことは?』


 最後に、そう聞かれた。


『別に…ない』


 そう答えた。


『あ、っそ』


 そして、彼女は行ってしまった。


 そう、いま花束を受け取った女性のような――


 最初は。


 見間違いかと思った。


 白い、雪のような花束を持つ、雪のような指先。


 それに唇を寄せたことが、シンの意識の中に一瞬で甦る。


 彼女に、生き別れの双子の姉妹がいない限りは、間違いなく、正真正銘の本物の、あの。


 完全に思考で確認するより先に、彼は歩き出していた。


 彼女の目の前まで。


「あら、久しぶり」


 何事もなかったかのように、彼女はにこりと笑った。


 ほら、いいでしょう、と受け取った花束を見せる。


 シンの方は、まだ口もきけないというのに。


「私がブーケを受け取った2人は、幸せになれるのよ…ねぇ、ハルコ?」


 その事実を、誇らしそうに唇に乗せる。


 そんな彼女に。


 ようやく、一言だけ言えた。


「お茶でも…飲まないか?」


 答えは、こうだった。



「30分だったら、いいわよ」

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