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結婚式:誓いの言葉-3

 ああ、よかった。


 とりあえず、ハルコは胸をなでおろした。


 神父が、何とか場を静めて進行してくれたのである。


 まあ職業柄、非常に気は長いだろうから、いきなり式そのものが取りやめになる、などということは心配していなかったが。


 そういえば。


 自分たちも、あの場所で誓いの言葉を交わしたのだ。


 少し離れたソウマの方を見やると、ようやく新婦の父親役から、ベストマンの位置と表情に戻った彼が、軽く視線を合わせてくれた。


 やれやれ、と言いたげな表情だ。


 クスッ。


 その表情に、笑みが浮かび上がってくる。


 カイトほど激しくはなくても、ソウマだって嫉妬くらいするだろうに。


 お互いがお互い以外の人にも、つい優しくしてしまう性格のせいで、表面上は心配や嫉妬をしていないような素振りでも―― 実は、胸を騒がせていたということが過去に何度もあった。


 ソウマは、チョコレートをたくさんもらうタイプだった。


 それでも、ハルコが用意したものにだけは、特別の反応を返してくれた。


 誰にでも優しい表情がちょっと崩れて、困ったりあせったり、でも平静を保とうとしたり。


 だからこそ、自分に言い聞かせていたのだ。


 嫉妬する必要はないんだわ、と。


 でも、学校の裏庭で告白されているのを目撃してしまうと、その場を遠く離れながらも、気分が沈んだりしたのだ。


 優等生で、人にも優しい私。


 その内側では、ずっとソウマに胸を騒がせていた。


 初めて、屋根の上にいる彼を見た時から。


 まさかあの時は、結婚してしまうなんて、思ってもみなかったけれども。


 そうして、ソウマと一緒に動き出した歯車の中に、カイトやメイが混じった。


 複雑な事情があったのだが、2人とも余りに恋愛にデキの悪い生徒だった。


 一時は、もう完全にダメなのではないか、とまで思って胸を痛めたこともある。


 その2人も、いまこんな風に誓いの言葉を交わすことになるなんて、思いもよらなかったに違いない。


 結婚なんて、本当にそんなものなのかもしれない。


 それを決めた瞬間に濁流に呑まれ、押し流され、気づいたら全然違うところに立っているのだ。


「誓います」という、カイトの声。


「誓います…」―― これは、メイ。


 2人とも、これまでのことを思い出したのか、胸に詰まったような音だった。


 私も。


 誓いの言葉の時は、本当は泣きそうだったのよ。


 覚えてる?



 ソウマの方に、視線でそう言ったが、彼はさすがに分からなかったようだった。

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