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結婚式:新郎・新婦入場-4

 まあまあ。


 メイドオブオーナーは、呆気に取られた。


 ヴァージンロードを逆走してまで、新婦を奪回しようという男が現れたのである。


 着慣れないタキシードと、いやな環境に追いつめられて、逆上したのではないかと、一瞬ハルコは心配になってしまった。


 いくら逆上したとしても、メイを置き去りにしていく男ではない。


 ばっと、ソウマから花嫁の腕を掴むと。


 はぁ。


 本当に。


 自分のものにしたくてしょうがないのねぇ。


 早速、予定外の事件が起きて、ハルコは笑みを浮かべてしまった。


 ただの過保護や、猫可愛がりとは違う。


 カイトは、彼女の中を自分でいっぱいにしたいのだ。


 いっぱいにしたい―― 要するに、いまはまだいっぱいにしていないと思っているのである。


 どう見ても。


 ハルコは、どうして分からないのか、不思議でしょうがなかった。


 あんなにメイは、彼のことを思っていて。


 おそらく、カイトが希望するボーダーラインくらい、とっくに越えるほど好きでいっぱいになっているというのに。


 そして、逆も然りだ。


 カイトの方が、もう明らかに彼女でいっぱいになっている。


 いままで持っていた価値基準のすべてが、大きく変わってしまったのだ。


 それなのに本人たちだけが、相手がいつかどこかに連れ去られてしまうのではないかという、心配ばかりしているのである。


 不思議なものねぇ。


 あんなに、お互い熱烈に思い合っているのに、どこか噛み合っていないなんて。


 まあ、もう少ししたら落ち着くでしょう。


 ふふふ、とハルコは笑った。


 せっかく籍は入れたのに、結婚式を挙げるための準備で、ロクに穏やかな二人の時間も取れなかったのである。


 きっと、新婚旅行から帰ってくる頃には、少しは落ち着くに違いなかった。


 1週間二人きりなのだ。


 行き先は、南の島―― の前に、ヴァージンロードを駆け抜けた夫婦1年生が、この式を無事やり遂げることを考えるのが先決のようだった。



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