猫の眠ったあとで。
気疲れしたのか、帰るといつのまにか凛はソファで身体を丸めて眠ってしまった。
緑はブランケットをかけ、本当に猫みたい、と思った。
携帯、ちゃんと充電しとけよな。そう透に釘を刺され、緑はまたも謝った。透は眠る凛を一瞥し言う。
「お礼言っときなよ。心配してた」
「うん。分かってるよ。……そういえば、車に乗せたんでしょう?珍しいわね」
「傘持って出て行こうとしたから」
「え、あの雨の中?」
「そう。だから車出さないわけにもいかなくて」
そんな必死に心配してくれる友達を、愛おしく思わずにはいられなかった。
凛!心配かけてごめんねっ。
眠る凛の身体に緑は抱きついた。
透は黙ってその様子を見ていたが、部屋に入る前に緑を振り返った。
「ねぇ。明日からもう、二人になることは避けたいんだ。……協力して」
そのまま部屋へ入る透の背を見送り、緑は深いため息をついた。
ここまで頑なに凛との関わり合いを避けたがる理由を緑は分かっている。
「凛……あいつを、何とかしてあげられないかな?」
私はまた笑顔の透が見たいよ。
透だって乗り越えるべきことなんだって、気付いている頃でしょう?
『あの子はだめだ。関わりたくない。緑ならわかるよな?』
わかるよ。でも、だからこそ凛にちゃんと向き合って欲しいの。