にわか雨2
透の車に揺られ、助手席の凛は何度も緑の携帯に電話をかける。
「繋がった?」
透に聞かれ、首を横に振る。
「どうしたんだろう、緑……」
「とりあえずバイト先に向かってる。途中で見つかるかもしれない」
だが探すと言っても、窓を打つ雨のせいで外は見えない。ワイパーで拭ったフロントにもすぐに降り注ぐために、運転もままならない状態だ。透は目を凝らして注意深く運転した。
落ち着きのない凛は口数が少なくなり、ついに黙ってしまった。
「大丈夫だよ」
そう言った透の言葉に凛は顔を上げた。
「緑はしっかりしてるから、どっかで倒れてたりはしないって。だから……」
赤信号になり車を止めて、透は凛の方へ向き直った。
「そんな顔しないで」
安心させるような優しい声に、凛は頷いた。
色々な所を回ったが、結局緑は見つからなかった。そこで一度家に返ってみようと折り返すした時に、凛の携帯が鳴った。
「緑だ!緑、もしもし!?」
「あ、凛。ごめんね、携帯の充電が切れちゃって。タクシーつかまえるのに時間かかったんだよね。家帰ったらバイト先から留守電はいっててさ、凛が心配してたみたいに聞いて……今どこ?」
「透くんの車」
「え、一緒にいるの?」
「緑、体調は?雨に濡れたりしなかった?」
「平気よ!少し頭痛がしただけ。もう薬ものんだし、早引きなんてしないって言ったのに、店長が過保護だから……」
「よかった……!」
安堵の笑みをこぼした凛は運転席の透を見上げた。透は面倒かけやがって、と疲れた顔をしていた。