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僕らの猫  作者: みー
19/28

緑に検証

先輩との夕飯から帰って来た日から、凛の様子が明らかにおかしい。


焦点の合わない目で料理をしながら「独占欲ぅ……」と呟いたり、やたらと真剣に恋愛もののドラマを見ている。


これは、透と何かあったのでは?

緑はそう勘繰ってはみたが、透と凛の間に何か変化が起こった様子はなく、いまいち原因が分からない。


どう探りを入れようかと思案していた時に、凛の方から声がかかった。


「緑、浩さんと遠恋してるよね?」


緑がふらない限り決して恋バナなどしない凛(多分しても分からないから)が、自らそんな話をふってきた!

緑は思わずテレビを消して身構えてしまった。

だが、浩さんの話……


「付き合ってるって、言えるのかも微妙だけど……」


肩を落とさずにはいられない。

遠恋には耐えられるからとサンフランシスコへ送り出してはや半年。自分たちは付き合っているのだろうかと疑う程に疎遠になっていた。


クリエイターとして有能な浩さんが、忙しいのは分かる。

だからといって、音信不通はさすがに気が滅入るものだ。

こちらから連絡するのには気を遣うので、あまり自分から連絡しないように心がけている緑だったが、そろそろしようかと思っていた矢先だった。

凛が、目を輝かせて質問をしかけて来たのだ。


「浩さんを見る時、どんな気分?」


これまた突拍子もない質問で、緑は頭を抱えて唸った。


「どんな……って、安心するかなぁ」


「安心?そうなの?」


律先輩とは全く違う答えに、凛は興味津々に食いついて来た。

緑はすこし引き気味に言う。


「浩さんって仕事はできるけど、私生活だとちょっと抜けてて、雰囲気も柔らかいし、ちょっと可愛いから」


「じゃあさ、あの、他の人にあんまり見せたくないとか思ったこと……ある?」


思い切った様子で大胆にも凛はそう切り出して来た。聞いた自分が恥ずかしいのか、押し黙った緑を前にかなりそわそわしている。

緑はしばらく考えていたが、やがてぼそりと呟いた。


「ある、かも」


その言葉に凛は肩を強張らせ、「あるの……やっぱり」と言いながら、ふにゃふにゃと床に座り込んだ。

その後その姿勢のまま何もしないので、肩をつついてみると「うにゃぁ」とか訳の分からない言葉を発した。


放っておいた方が良さそうなので、先に寝た。


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