魔術師とクッキー③
「オカルト研究部って神崎さんだけじゃなかったんだ?」
「私と摩夜ちゃんと巴ちゃんだよ」
巴ちゃんとは天宮巴といい
麻里音と摩夜とは仲良し三人組であり三人の中で一番小柄な少女である。
摩夜にしめられた後は残りの休み時間はこの三人と雑談する事になった。
「そういえば天宮さんの家って神社じゃなかったっけ?」
「う、うん。」
「こんな怪しげな部活なんて入って大丈夫なの?」
失礼なのは承知だかが、気になったので尋ねてみた。
「怪しげとは何よ」
「怪しくって素敵だよねっ」
ムッとする摩夜と嬉しそうな麻里音。
(そういえば神崎さんに摩夜が魔術師ってバレてないみたいだ)
ましてや摩夜がそんなヘマをするようには思えないが
「麻里音ちゃんと摩夜ちゃんがいるし」
人見知りのせいか、小さな声で恥ずかしそうに呟く巴を見て瑞希は察した。
「完全に巻き込まれている」と。
麻里音が暴走し、摩夜には旨く丸めこまれている状況を完全に把握した。
「でも、私霊感なくって全然役に立てないんだ」
「へ?霊感??」
何を突然。
(天然?)
魔術師ならともかく普通の人間に霊感なんて普通求めない。
「お兄ちゃんは霊が見えるみたいなんだけど・・・
あっ・・・でも本当に見えてるかどうか」
「巴、樹さんが霊の事以外でなたに嘘をついた事があったかしら?」
あたふたと話す巴に摩夜が優しく問いかける。
「え・・うっ、ない・・・けど」
「だったら、霊感も本当じゃない。樹さんは嘘なんて付かないわ」
「うぇっ・・・でも摩夜ちゃん
だったら本当に幽霊が存在するって事で・・・・
昨日だって!誰もいない壁に向かって何かブツブツ会話してるし!」
「じゃあ、昨日も幽霊が出たんでしょうね」
摩夜は聖女のような微笑で残酷な一言を放った。
「やめてぇぇぇ」
ボリュームの小さい悲鳴を涙を浮かべながら手は耳をふさいで首を横に振る様子を
摩夜は小動物をめでるように顔を赤らめて見つめる。
こんなに嬉しそうな摩夜を瑞樹は初めてみた。
苛めて楽しんでいるようにも見えなくもないが
(本当にこの二人が好きなんだな摩夜は)
「うわぁ、昨日もお家に幽霊が??素敵だね!」
その中で麻里音はまた一人ズレた事を言っていた。