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一人百物語 2

手首

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/07/20


友人の尚子さんの話。

(うわ、大きな蛾が止まってるうっ!)

と思ったら。

それは人間の右手首だったという。

節のごつ目の、男性のものらしき手が、何故か天井近くのステレオスピーカー近くの壁に張り付いていて……それが尚子さんの見ている前で、スピーカーの裏にコソコソと入り込んでいった。まるで大きな蜘蛛の様に。


「え?スピーカーの裏?見ないわよ。見て、いたらどうするのよ!余計怖いじゃないの!」


その日尚子さんはスピーカーの裏を確認しないまま、

(あれは見間違いだった)

と思うことにし、部屋の明かりを消して就寝したという。




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