1888年・アラス市
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フランス・アラス市
ヴァン・ヘルシングとパスパルトゥーは確かに急いでいたが、一旦アラスに泊まることにした。理由は単純明快なものだった、追手と対峙するためである。
「教諭、保守派の追手を本気で撃退するおつもりですか?」
パスパルトゥーは問いただした。
「ああ・・・これでも私は系統の真祖なのでどこかの真祖の眷属ごときに負ける気がしない」
「確かにそうですが、一刻も早くドラキュラに会って、革命派に取り込む必要があるのですよ」
「わかっている・・・だが敵の情報も必要」
「追手はともかく、その背後にいる真祖については大体ご存じなのでしょう?」
「ああ・・・でも確信が必要」
「わかりました、私は全力で援護いたします」
「頼もしいな」
「パリまでは全力で行けたら48時間でたどり着けるのに・・・」
「御者は人間なのだぞ・・・少なくても3日かかる・・休憩と宿泊を入れて」
「そうですね、確かに人間的振る舞いをしないと・・・餌には我々の存在を知られてはなりませんから」
「日光はキツイだが、活動の妨げにはならない」
「私はまだ新人者ですよ・・・かなりきついです」
「80日で世界一周した男は何を言う」
「ご存じだったのですか?あれは前の雇い主・・・私は転化する前の話ですよ」
「話が変わるが、パスパルトゥー君は清国人との混血だな?」
「はい、母親は清国の出身、父はフランス人の水兵だったのです・・・随分前に亡くなっています」
「なるほど」
「教諭・・・追手がこの町に入った」
「おお・・・流石、これは君固有のスキルだな」
「はい」
「君の主はよこしたわけ・・・便利なスキル」
「私たちの宿へたどり着くまで時間がそうかかりませんが、どうしますか?」
「そろそろ日が落ちるので、こちらから出向くとしょう」
「主から聞いた通り・・・酔狂ですね・・・失礼・・褒めていますが」
「ははは・・・素晴らしいぞ、君・・・わが系統が復活すれば・・・上書きしたいくらい」
「上書きスキルはお持ちですか?」
「持っておらん」
「そうですか・・・良かったです・・・上書き防止自滅魔法がかけられていますので」
「流石、始皇帝・・・君の主が用心深いだな・・・パスパルトゥー君」
「自滅したくないので・・・こんな話はやめましょう」
「ああ・・・悪かった、君があまりにも面白すぎるので」
「言っときますが、私はピエロではありませんが・・・ピエロと軽業師ならやったことがあるのですが」
「知っている」
「では行きましょう・・・あそこの丘に行けば、敵が我々の前に現れると思います」
「では行こう、パスパルトゥー君」
日が落ちた30分後
二人の前に一人の黒服の男が姿を見せた。
「名乗れッ!!」
ヴァン・ヘルシングが怒鳴った。
黒服の男は笑顔を浮かべた。
「ジル・ド・レが眷属のショーヴランだ」
「一人じゃないですね・・・もう一人の気配を強く感じます」
パスパルトゥーはヴァン・ヘルシングに伝えた。
「もう一人は出てきたらどうだ?」
「恥ずかしがり屋なので・・・私の近くで隠れていますよ」
「何だ・・・透明になった男ではないか?」
ショーヴランは方眉毛を上げた。
「出てきたらどうだ?・・・臆病なのか?・・・グリフィン君よ」
「誰が臆病だって?!!」
「おお・・・単純な奴め・・・大体君の位置がわかった」
「バカめ・・・せっかくの利点」
「黙れショーヴランッ!!」
「早速仲間割れですか?」
「煽っても無駄ですよ・・・ヴァン・ヘルシング教授・・・私はグリフィンほど甘くないので」
「ああ・・知ってる」
「でははじめましょうか?」
「いいぞ・・・議長補佐の眷属の実力を見せてもらう」
全員は刃が銀でコーティングされた短剣を取り出し、切り合いを始めた。
続く・・・
次回の更新予定1月22日(木曜日)




