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久遠の不和  作者: 鬼野宮マルキ


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1888年・空の上

ドラキュラ所有・試作硬式飛行船【カルパティア号】


簡易はしごが上へ引っ張られ、自力で上ることなく、ミナとセバスチャンは飛行船のゴンドラに入った。


「私はフォン・ヘルダーと申します、ようこそ、わが主の試作戦闘飛行船【カルパティア号】、ハーカー婦人」


黒に統一した制服に見えるスーツを着た金髪で丸いサングラスの長身な白人男性がこの飛行船を操縦する独特なコンソールに立っていた。


「私はハーカーではないわ、フォン・ヘルダーさん」


「失礼いたしました」


「それよりよ・・・盲目なお前はこんな立派な飛行船を操縦できるのか?」


「これだからこんなもじゃもじゃ野蛮人と組むのは嫌ですな・・・今度は主に伝える」


「転化する前の付き合いじゃねえか・・・文句言うな、このメカ変人」


「侮辱したな!!この軍人崩れが!!」


「おい、おい、君たち、主に怒られる前、先生に滅ぼさせるぞ」


黒髪の30代後半の長身男性が仲裁に入った。ミナはこの男性がしゃべるまで、一切の気配を感じなかった。


「どなたでしょうか?」


「おっと、大変失礼いたしました、こちらの飛行船の副長のポーロックと申します」


「では、ミス・マレー、艦長のところへ案内します」


「艦長?」


「はい、教養があるあなたならご存じのはずです」


ミナがポーロックの案内に鋼鉄の扉の前に案内された。


「先生、連れてきました」


「入りたまえ」


二人は作戦司令室のような空間に入った。


そこに30代後半の男性が立っていた。

その男は背が高く痩せていた。肌が色白で、掘り深く、髪が少し後退していたものの、上品さがあり、如何にも学者というイメージにぴったりの風貌だった。


「あなたは・・・まさか・・あの有名は天才数学者?・・」


「ようこそ、【カルパティア号】へ、ミス・ミナ・マレー・・・私は艦長の職を承っているドラキュラ系統の眷属、ジェームズ・モリアーティと申します」


「お会いできて光栄ですわ・・・あなたの論文が素晴らしいですよ・・・21歳で書いたと思えないほど完成度が高い」


「私のことを知っているのは嬉しいです・・・流石ミス・マレー・・・そんなあなたに見せたいものがある」


「私に?」


「はい、マスターがあなたは即戦力になると仰り、我々はあなたをこの飛行船の乗員にしたいと思っています・・・どうぞ、こちらです」


モリアーティは彼女とポーロックを作戦室の奥にあった扉へ案内した。


「ここにはあるのは何?」


「開けてみてください・・・あなたならすぐわかると思います」


モリアーティはニッコリと笑顔を浮かべて、ミナはその扉を開くよう促した。


彼女は扉を開いて、その部屋にあったものを見て、愕然とした。


「モリアーティ艦長・・・これって・・・まさか・・・」


「はい・・そのまさかです・・・」


「チャールズ・バベッジの解析機関?!・・・設計に成功したの?」


「はい・・・設計だけではなく・・・ちゃんと動くのです・・・」


「嘘でしょう・・・あの人が亡くなって、これを作れる者がいなくなったと科学界が落ち込んだと父から聞いたのよ」


「誰か亡くなったって?」


ミナが解析機関の前に簡易椅子に座っている中年男性を見た。


「あなたは?」


「チャールズ・バベッジだ・・・死んでないが・・・最近転化したぞ」


「でも本来は20年以上前に・・・というか若い・・本来ならほぼ100歳よ」


「転化で影響で少し若返った・・・流石に50代後半が精一杯だったけど」


「それでも・・・」


「ミス・マレー・・・ミスター・バベッジはある勢力に追われていて、死を偽装する必要があった・・・しばらく私と仲間が彼をかくまい、最新の医療を含む様々な治療法で延命していた」


「マスターによる転化までね」


「我々はまさか転化という方法があると知らなくて・・・自分たちが転化されるまで・・・」


「わかるわ・・・それより解析機関について詳しく教えてほしいの」


「流石ミス・マレー・・・マスター・ドラキュラの言ってた通り・・・ミスター・バベッジ、説明を頼む!」


モリアーティは久々に心から笑顔を浮かべた。



続く・・・



次回の更新予定12月29日(月曜日)

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