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親友面した女の巻き添えで死に、転生先は親友が希望した乙女ゲーム世界!?転生してまでヒロイン(お前)の親友なんかやってられるかっ!!  作者: 音無砂月
第3章 ゲーム開始?時期じゃないでしょう

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第59話 これは、お前が招いた現実だ

幸いなことにオークジェネラル級のモンスターは現れなかった。だからこそ、戦いで消耗していてもユニアスが選んだ少数精鋭で何とかなった。

そして、肝心のアイルだけど発見された。

森の奥にある洞窟で蹲り、ガタガタと震えて何かをブツブツと呟いていた。

「殿下」と私が声をかけると彼女はピクリと体を揺らし、ゆっくりと顔を上げた。最初は焦点の合っていない視線だったけど私を捉えると夢から覚めたように立ち上がり、私の両肩を掴む。

それはおよそ女の力とは思えない程の強いもので、骨が軋んだ。それに爪が肩に食い込み、血が滲む。正気じゃない。

「どうしてっ!ここは私のための世界でしょう。私が、ヒロインのはずよ。なのに、どうして誰も助けに来ないのよっ!」

「殿下、落ち着いてください」

呆気に取られていた騎士たちが慌てて私とアイルを引き剥がすも、彼女はジタバタと暴れて尚も言い募る。決定的な、そして王女としてはあり得ない言葉を。

「私はちゃんと言われた通りに、モンスターを暴走させたわ。ちゃんとやったのよっ!だったら、普通はヒーローが助けに来るはずでしょう。なのに、どうして、誰も来ないのよぉっ!」

その言葉に私はやっぱりと思った。けれど、背後に控えていた騎士たちは違う。ユニアスでさえもその動揺は大きい。

「殿下、今の言葉では、その、先ほどのスタンピードは殿下が起こしたという意味に聞こえるのですが、間違いありませんか?」

ユニアスの言葉にアイルは「そうよ、私がやったのよ」と自白した。

「どういうことだ?」

「スタンピードは人為的に起こせるのか?」

「仮にそうだとしても、何のために起こしたんだ?」

目の前で生徒が食われた。

話したことはない。でも、学内で見かけることがあった生徒だった。

私の横を吹き飛ばされた騎士は木に激突し、全身の骨が砕かれて死んだ。

全て、アイルが招いた。

何のため?イベントを起こして、ハッピーエンドを迎えるためだ。

だからこそ、目の前ので起こった惨劇と彼女の無邪気さに腹が立つ。

死んだんだ。ゲームオーバーじゃない。ゲームじゃない。だから、生き返らないんだ。

骨が折れて、痛かっただろう。自分も食われるかもしれないと恐かっただろう。

生き残っても、目の前の惨劇が忘れられずに傷跡を残す生徒は大勢現れるはずだ。

知るはずのない痛みをアイルは与えた。自身の欲望のために。くだらない理由のために。その自覚さえ、彼女にはない。それが腹立たしくてならない。

「イベントをクリアして、ハッピーエンドを迎えるためよ」

「イベント?」

「殿下はスタンピードを祭か何かと勘違いしてるんじゃないか?」

ここにいるのは私以外、全員騎士だ。つまり、先ほど仲間を目の前で殺されたばかりの集団になる。そんな人たちを目の前に喚き散らされる言葉は怒りと憎しみを生むものばかり。

少しまずいかもしれないと思った時、アイルの手から何か握られていたものが落ちた。それは見たこともない紫の石だった。どことなく禍々しさがあり、素手で触るのを躊躇ってしまうようなものなのでハンカチに包んで拾った。

「ミキちゃんっ!」

「殿下、おやめ下さい」

攻略対象者であるユニアスの制止も聞かず、まぁ、初めて会った時から聞いたことなんてないけど。アイルは私の胸ぐらを掴んできた。完全にパニック状態だ。よほど恐かったのだろう。こちらがそれを考慮してやる理由はないけど。

自業自得だ。

「全部、ミキちゃんのせいでしょっ!私に嫉妬して、イベントを横取りしたのねっ!最低よっ!」

「いい加減にしろっ!」

私はアイルの頬を思いっきり叩いた。先ほどからの無神経な言葉に憎悪を宿していた騎士たちもこれには呆気に取られた。

王族に手を挙げるなんて、不敬罪で罰せられるだろう。でも、もう関係ない。なるようになれだ!

「イベント、イベントって、お前は人の命を何だと思っている?私はお前に何度も言った!現実を見ろと。お前はゲームでもしているつもりかもしれないがな、ここは現実なんだ。そして、今日、お前は人を殺した。もし、本当にスタンピードをお前が起こしたのなら、今日、お前は多くの人の命を奪ったんだ。何んの罪もなかった人たちの命を。自分の身勝手な行動が起こした結果をその目でよく見ておけ」

私は胸ぐらを掴んでいるアイルの手を振り払った。そのタイミングでユニアスが拘束するようにアイルの手を掴む。もし、今のが事実なら彼女は王女とはいえ罪人になるからだ。

でも、それさえも理解していないアイルは不思議そうに私とユニアス、そして迎えにきた騎士たちを見渡す。

「殿下、城までご同行願います。レイファ、先ほど拾った物は研究機関に回すから後ほど提出を。念の為、ハンカチで包んだままにしろよ」

「はい」

「お前ら、帰還するぞ」

全てが明らかになれば、アイルの未来はここで終わりだろう。そうなればいいのに。陛下は、どう判断されるのだろう?

どのみち、庇い立てすれば陛下は騎士と、今日子供を亡くした親を敵に回すことになる。

もみ消しなんてさせない。アイル、代償は必ず支払ってもらうから。

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