第54話 全ては予定通り
お茶会は何度も開催された。私はその度にアイルの命令で招待客を選んだ。アイルに相応しいと思われる人物を。
いつもなら面倒だと思う仕事だけど、今回ばかりは好都合だった。
お茶会を開催する場合、本来ならホスト側が準備をしなくてはいけない。もちろん、招待する人間の厳選も。でも、面倒臭がりなアイルがそれらを私にやらせるのは明白。仮に他の侍女にやらせるにことになったとしても王女宮の侍女は私を嫌っている。だから絶対に「公爵令嬢なんだから得意でしょ」とか言って私にお鉢が回ってくることも分かっていた。
そして、その読みは当たっていた。馬鹿で、忠誠心のない連中で良かったと心から思ったよ。
「気に入った殿方はいましたか、殿下?」
「いたわっ!さすがはミキちゃん。私の親友だけあって、私の好みを熟知しているわね。私はミキちゃんみたいな友人思いの友人を持てて本当に幸せだよ」
「・・・・・」
「お茶会って正直、興味がなかったんだよねぇ。だってさぁ、日本と違ってジュースとかないしぃ。作法とかもうるさいじゃん。私、紅茶よりもジュース派何だよねぇ。ケーキとか、クッキーもいいけどさぁ、たまにはスナック菓子とか食べたくなるし。正直、話もつまんないんだよねぇ」
「・・・・・」
そういう世界をお前が選んだんだろうが。なのに文句?殴っていい?あんたのせいで死んだ挙句、あんたの我儘のせいでこんな世界に転生させられた私にはあんたを殴る資格ぐらいあるよねぇ?
・・・・・・いったん落ち着こう。中身はマヤでも、外側は最高権力者の娘だ。殴った瞬間に死刑確定。
冗談じゃない。どうして、私がこんな馬鹿女のせいで死刑にならないといけないの?
世の中ってマジで理不尽だよねぇ。
ああ、マジで殴りてぇ。
「だけど、いろんな人とお喋りできるのも案外悪くないかもって最近思い始めたわけよ」
「ちなみにですが、気に入った中から攻略する人は決まりましたか?」
「何人かはピックアップしているわ」
アイルに教えてもらった人物名を聞いて私は顔がニヤけそうになった。
なぜなら、アイルが選んだのは私がこっそりと数回のお茶会に分けて混ぜたトラップだったから。
見た目もよく、地位も財力もある。だけど、女癖の悪い人だったり、見た目と地位はあるけど、実は借金まみれの家とかね。
みんな上手に隠してるけどそんなの公爵家の力を使えば簡単に調べられる。そして、そういう奴は口が上手かったり、借金をチャラにするために必死で王女であるアイルに媚を売る。
誰かにチヤホヤされたいだけのアイルなら当然靡くと思った。だって、無愛想な本当の攻略対象者よりも攻略対象者っぽいでしょう。
それに、認めたくはないけどアイル、マヤの男の好みは熟知している。
アイル、誰もあなたに教えない。あなたが選んだのがどんな連中か。だって、度重なる無礼なお茶会の招待に怒っている子息令嬢は多いし、関わり合いになりたくないって思っている人も多いから。
あなたは貴族を敵に回しすぎたのよ。
学校は社交界の縮図。子供を通して親は情報を得る。特に注目度の高い王女に関して。ただ疑問なのは既に王の耳にも入っていてもおかしくはない情報なのに何の動きもないこと。
王女に関してポンコツな王が楽観視しているとかだと良いんだけど。一応、警戒だけはしておこう。
「後はどう攻略するかですね。どうしますか?」
「ミキちゃん、テンポよく攻略するにはねイベントを利用するのが一番なの。ちょっと、色々とゲームと違うけどまぁ、問題ないはないでしょう。だって、ここは私のための世界だから」
「・・・・そうですか」
だから破滅するのよ、マヤ。私があなたを破滅させてあげる。
私の人生を滅茶苦茶にした報いをここで、この世界で受けさせる。そう、決めたの。




