十三話 真打ち
やっぱりエピソードタイトルあったほうがいいですよね〜
息が詰まるほどの濁臭を吸い込み吐き出しながら走る。
「はあ、」
場内に入るに連れ、状況の悪さを思い知る。
至る所に兵隊の血痕と臓物で廊下が真っ赤に染まっていた。宛らも赤いカーペットのように。新兵の二人を除いて隊員は吐き気すらも込み上がらない。
「うえ、もう此処まで入ってきたのか。」
「でも、どうやって」
「全隊、聞け」
新人の疑問に分隊長は重みのある声で答える。その声の低さは全隊を一瞬凍らせた。
「俺の憶測だが、間違いない。飛竜どもを見た。今回の敵は、王室直属軍近衛聖騎士団『王の剣だ。』」
その一言が場を凍らせる。
王室直属近衛聖騎士団『王の剣』、リオネス王国改、リオネス聖竜王国、この世界で竜を軍隊規模で使役し扱うのはリオネスだけだ。其の中で精鋭中の精鋭が集められるのが王室直属近衛聖騎士団、入隊するのは異世界の勇者、極悪人、平民、誰であっても可能。求められるのは圧倒的力のみ。しかし、それは脅威であるが彼らがいることに付随する事実が全員を絶望させる。
「『王の剣』が居るということは、この援軍には王室の血族が関わっていることだ。」
皆、唇を噛む。だが、、、、
「彼奴等の主軍は壊滅している。ワイバーンの数も精々数体だ。こんだけ殺し回ったんだ確定で消耗している。!!総員警戒!!」
隊員が一斉に武器を取り出す。それと同時に巨大な鉄の塊が分隊長めがけて放たれ分隊長を遠くに吹き飛ばした。
コツン・コツン・コツン
ゆっくりと、紅いカーペット上を歩く人間が2人か影から姿を表す。
「ああ゛、まだいんのかよ!」
「まだ居たのでしたか予想外でした。」
立つのは17〜18ぐらいの金髪の不良のような青年と、白髮の10代前半の少女である。青年は金槌、少女は己を超えるほどの大きさの鎌を携える。どれも赤く色づいている。
「じゃあ、始末スッカ!!!」
青年の姿が消える。
「『強撃』!!」
青年は金槌を振り上げた状態でアウスールの頭上に現れ、、、
「一匹目!!!!!!」
ぐちゃと肉が潰れる音とともにアウスールの右肩から腰まで金槌によって潰れる。ビシャと湯水がごとく流れる血液。アウスールは、意識が朦朧とするが、
「ただでは死なん」
「!!」
アウスールから異常なまでの魔力の膨張を感じ取り青年はすぐに警戒し、距離を取ろうとする。しかし、
「離せ!!!!」
青年は明らかに動揺して、黄泉に片足突っ込んだ魔力の高まりの主を殴り続けるが、アウスールの左手はしっかりと青年の服を掴み離さない。
「離せ!!」
アウスールの未だ力強い瞳を見て青年は更に動揺する。瞳に一切の揺らぎはなく真っ直ぐとアウスールは青年を見つめる。すると、青年の血色の良い肌がすぐに青白くなる。そこにあるのは唯単純に恐怖だろう。不理解が産んだ恐怖。侵略者だからこそ理解できない守護者たちの覚悟。だからこそ不理解ゆえの恐怖。
「今助ける。」
暫くすると、流石にヤバいと感じ取ったのか白髮の少女が動き出す。言葉通り、青年を助けに行くようだ。
ガキン!
鉄と鉄が交差し火花が白髮の少女の首下で立つ。
「ちっ」
火花の返事は舌打ちだった。
俺は何をやってるのか。
アウスールは、もはやもう助からない。こんな事をやっても無駄なはずだ。しかし、アイツの意地は消えてない。戦う意志を消してない。そいつを置いて行っていいのか?
いいわけ無い。
「アウスール何をやるのか知らんが一発見返してやれ!!」
勝手に口が開いたと思ったら思いがけないことを口走っていた。
何時以来だろうか、戦場で他人のために動いたのは、、、、だが、悪い気はしない。
アウスールは一瞬、驚きの顔を見せにっこり笑った。
其の瞬間、世界が白に包まれた。
キーーーン
アウスールが爆発した威力は凄まじく耳鳴りが続き、地面が融解し始めている。
視界は土煙で最悪。眼の前の相手が敵か味方かも判断がつかない。そんな中、土煙の中から足を引き釣りながら進む男を見た。顔は爛れており、金髪だった髪は赤に染まっている。ヴォルクは敵とすぐに理解し魔法を発動しながら斬りかかる。青年はすぐに反応し受け身をするが捌ききれず、かすり傷が入るが、何も起こらない。ヴォルクが目を凝らすと黄色い薄い色のボヤケが青年を包む。
魔力膜だ。
魔力膜は体の皮膚に纏う第二の皮膚とも呼ばれる存在で誰にでも持っている。しかし、その濃度が濃いほど魔法による抵抗も強い。つまり、高確率で自分の沸騰はコイツラに聞かない可能性がある。
「相性悪いな。」
舌打ちをする。
青年とヴォルクはしばらく間合いを見定める。
ガン!!
青年が一気にヴォルクに詰め寄り金槌を振り下ろす。ヴォルクは、それに応じて金槌を回避、脇腹に剣を突く。しかし、青年は金槌を支点とし身体を上空に上げ、天井を蹴ってヴォルクの頭を潰しにかかる。ヴォルクはそれを剣で受け流して青年は態勢が崩れる。ヴォルクは、其の隙を見逃すはずがなく流れるような起動で青年の項に、刃が向かう。一瞬仕留めたと思ったが、ガンという金属音の衝突によってそんな考えは消え失せる。敵の援軍だ。
「もう、司令部は潰されたのか?」
そんな絶望じみた考えが頭によぎる。しかし、確認するまで撤退はできない。
だが、5対一は分が悪すぎる。
一歩づつ敵兵の一人が近づく。
何となく感じる練度の差をまるで分隊長を相手取るような重い威圧感。
「敵は何人だ。」
「おそらく、5人です。」
「じゃあ、後三人だな」
新人のコンラート、イルゼの生首が転がる。
は?
咄嗟のことに一瞬驚くがすぐに冷静に成った。なってしまう。
何も感じないわけではない、悲しくないわけではない。
酒飲み仲間のアウスール、新しくできた後輩たちコンラート、イルゼ、親しい人間が消えてしまった虚無感が胸を襲いただ残り続ける。敵を討とうにも、眼の前の人間を見て理解する。別格と、魔力、練度、力、全てにおいて勝てない。
このままでは死んでしまう。
敵が打てない。
だが、
「ヴォルクそのまま伏しておけ!!」
咆哮と共に斬撃のカーテンが上空を覆い、敵兵に降りかかる。其の攻撃により援軍の一人の頭が潰れる。
圧倒的な魔力、獣のような咆哮、この鈍圧な威圧感、青筋を顔に立てた大男が大剣を持ちながら悪魔のような万円の笑みで笑う。
仲間は歓喜し
敵兵は、震える
ーーーーーー真打ち、対ノメリア戦線のエース、分隊長ヴァルドのお出ましである。
因みに、分隊長は危険と直ぐに判断されて、二人組に場外まで飛ばされました。
分隊長同様、エースは皆んなチートです。
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