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十二話



 ドン・ドン・ドン・・・・・・・・


 太鼓の音が鳴り響く中、歩兵隊が盾を上に向けながら城に向かって坂道を昇って前進する。敵兵はすぐにコレに気が付き、矢の雨という洗礼を歩兵隊にする。


 ヴォルクは、盾を上に向けながら城を見て一言、

 「堅牢だな」

 

 と感想が口から零れ落ちた。城は見事な石造の要塞であり石壁の高さは優に10メートルを上回っていた。下から見上げるともはや壁ではなく大地のように大きく広いものに見えた。そして、その事実はヴォルクだけでなく軍全体の士気を下げた。巨大な壁はそれだけの圧倒さを見せていたのである。


 ヴォルクたちがそう思うのも仕方がない。何故なら本来は城攻めは攻城兵器で攻めるもの、しかし、険しい山岳地域であった理由により梯子ぐらいしか持ってきていない。しかし、軍の命令である以上、逃げることは許されない。


 「ワオオオオオオオ!!」


 大声で声を上げて自分の中にある恐怖を抑制を試みるが未だに心臓のドラムのような低い鼓動は耳の奥で響く。そして、ヴォルクは盾の取手を強く握る。


 「ッつ」


 城壁の方で大きな魔力の高まりを感じた。

 ヴォルクは、すぐに頭を下げて身を伏せる。その瞬間、魔力の高まりが最高点に達しヴォルクの前の列に頭部の半分が抉れた骸が地面に落ちる。


 「穿壊(せんかい)持ちが居る伏せろ!!」


 分隊長が叫び全部隊が伏せる。また、魔力が高まる。そして、矢は放たれる。その矢の向かう先は未だ立っている分隊長だった。しかし、矢は分隊長の持つ大剣によって真っ二つになる。


 「みーっけ」


 分隊長は、足元の石を即座に拾い上げて穿壊持ちの射手に狙いを付ける。

 「強撃!!」


 魔力をまとった石は真っ直ぐ射手を穿つ。貴重な技能持ちの死により敵に動揺が広がる。そんな隙を我ら帝国は見逃さない。


 「進め!!」


 一瞬の隙に全部隊立ち上がり、撓っている竹造りの梯子の結びを解いて、梯子は予めぶら下がっている人を元の形に戻ろうとする弾性力の力で一気に城壁頂上に付く。初めは敵の槍隊によって突き落とされるが梯子が架かる個数ほど防衛陣の斑になる。


 その斑に巡り合ったのはヴォルクであった。


 「昇ってきたぞ!構え!」

 剣に魔力が宿り、ヴォルクは強撃で槍部隊の前列が骸と成り後列に吹き飛び時間を稼ぐ、その間に梯子部隊の何人かが壁に上がる。

 「ナイス、ヴォルク」


 「ああ」

 ヴォルクとダンテは、ハイタッチし戦場に戻る。

 「強撃使いが居るぞ!!」

 敵兵の一人が叫び、敵兵の動きが鈍る。それだけ強撃持ちは恐怖の対象なのである。


 すぐに敵の盾兵が向かってくる。その中でフルアーマーの大盾と長剣を片手づつに持つ二メートルの大男が長剣を空に掲げ、


 「こちらには鉄壁のガイルがいる。我らが負ければ敵は国内中枢まで届く!我らの家族を穢らわしい帝国共に触れさせるのか。」


 その問いに兵士は、思い出す。自分の家族を果たして彼らは自分の家族にこの様な戦争の苦しみを知ってほしいか、其の答えは決まっている。


 「「「「否!!」」」」


 下がりかけていた士気は敵の隊長らしき大男に燃やされ、今敵兵は死兵と化した。


 「死ねえエエ!!」


 怯えていた民兵の眼に大火が浮かび上がり殺してもまた立ち上がる。其の眼は充血して明らかにハイになっている。確かに、死兵は怖い。ヴォルクは、民兵を切り倒しながら思う。


 しかし、


 大男を見る。


 アイツがこの大火の中心だ。

 

 ヴォルクはダンテに眼を向け、ダンテはコクリと頷く。ダンテとヴォルクは盾兵に向かって走る。そこに言葉はいらない、いつの間にか此処まで信頼していたのかとヴォルクは薄っすらと思う。


 「二人来たぞ串刺しにしてしまえ」

 盾兵はテストゥドの陣形になり衝撃に備える。対して、ヴォルクとダンテは剣に魔力を込め


 「「強撃!!」」

 盾兵の陣形は意味を失うまで其の一撃で崩れる。

 「はあ」

 ヴォルクは一息をつく、だがそんな暇すら敵は与えない。


 「鉄壁!」

 巨大な魔力の波が吹き荒れ眼前に盾が出現する。

 「ッつ!!」

 ヴォルクは剣で防御するが、バキッという音とともに剣にヒビが入る。そして、盾が一瞬緩むヴォルクは隙だと勘違いし一歩踏み出すが、すぐに後悔する。

 「強撃!!」


 大男が上段から長剣を風とともに振り下ろし周囲に風の渦ができる。ヴォルクは、紙一重で剣で力を逃がすが、


 バキッ


 剣が折れる。

 しまった。ヴォルクの背が一瞬で冷えた。どうすれば、


 近くで見れば分かる。其の鎧の頑丈だが、すべてのプレートそして鎖帷子にも魔力が込まれている。


 怖い、怖い、死にたくない、、、


 手が無意識に震える。死にたくない。


 「才能を唯持っていた凡夫が此処で死ね!」

 

 大男が長剣を振り下ろす。しかし、


 「強撃!」


 眼の前にに居たのはダンテの背中だ。

 「コレで貸しなしな、行くぞ()()

 ダンテが剣を手渡す。


 「ああ、当然だ。」

 ヴォルクは剣を再び取る。そして、走る。


 大男はすぐに盾を構え「鉄壁」を発動、しかしダンテは「強撃」で蹴り相殺される。其の隙にヴォルクは剣を持っている右側に入り剣で身体の隙間を《強撃》で突く。大男は体を捻ることで傷を最小限にするが、ヴォルクの剣は大男の手首を切る。コレで剣で細かい技術は封じられる。しかし、振り下ろす程度わけもない。大男は剣を下から切り上げる。ヴォルクはコレを間一髪で交代して下げる。ダンテはヴォルクと交代で大男の振り上げた腕の内側に剣を入りこませ《強撃》で腕を主から切り離す。大男は、顔に筋を立て、盾をダンテにぶつける。ダンテは盾を蹴り空中で姿勢を整え地面にきれいに着陸する。其の瞬間、大男は一瞬だけヴォルクから眼を離していた。離してしまっていた。大男は後ろに魔力の塊を感じ盾をそちらに向けた。しかし、それはブラフ。ヴォルクは剣で大男の右脇腹を刺し、魔法が発動される。すぐさま、大男の血液は沸騰し内部から溶け出す。


 幸い、頭は無事であり。ヴォルクは頭を切り離し空に上げる。


 「鉄壁のガイル打ち取ったり!!」

 その声が戦場に響き渡り、死兵は劣兵になり、流れるように帝国軍が制圧した。










 「完敗!」


 城を攻略した夜は、帝国軍は宴となった。

 「俺は、騎士を殺した。凄えだろ!!」


 酔った兵士は、自慢大会を始める。其の中で先人を切っているのは


 「俺は、技能持ちを5人も殺した。ヴォルクお前はどうだ!!」


 家の分隊長だ。

 この人は酒が入ると面倒くさい酒飲みの親戚並みに面倒くさくなる。


 「ヴォルク飲もうぜ!!」

 ダンテは絡んでくる。ヴォルクは、酒を飲んでいるが酔い過ぎて理解してない。ヴォルクはボートしてひたすらダンテに右左に振られ続けるだけ。


 暫くすると、皆酒場で寝ている。ダンテの顔は少し酒で赤みがかっており、自分の胸に顔を擦り続けて見上げて言う。

 

 「ヴォルク、お前はこの戦争が終わったらどうするつもりだ。」



 「ああ、多分村に戻って農夫に逆戻りだな。まあ、こんな毎日よりは断然といいが」


 「じゃあ、ヴォルクお前俺と一緒に王都に行かないか?」


 「王都?王都で何するんだよ。俺には何にも売り込める才能ねえぞ。」


 「嫌あるだろ。冒険者になろうぜ。」


 ほんのり酔いながら、昔を思い出す。転生した当時はそんなことにも憧れたなあ。前世のように一つの場所で働く以外の道を歩んでみてもいいかもしれない。


 「ああ、それもいいかもしれない」


 心の穴が少しだけ温まる。ヴォルクは夜空を見上げる。







 


 「敵襲!!!」

 何かが口先まで昇った瞬間、鐘が成り意識が切り替わる。


 「少し待ってくれ」


因みに、イメージとしてダンテはオレっ娘、ボーイッシュ美少女です。コレに相棒要素を付けているのは要素の詰め込みすぎだろうか?いや、そうではないだろう。

 恋愛話描くの苦手で済まん。

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