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01 いざ!花嫁学校へ!

この度めでたく公爵家の長子との縁組が決まった伯爵令嬢グレース。

花嫁学校で学び立派な公爵夫人になる準備を始めたけれど…

この学校何かおかしい…??

グレース・ローゼブレイド、立派な公爵夫人になるため、花嫁修行頑張ります!!




「花嫁学校もいろいろあるものね……。どこにしようかしら?お父様はどう思われますか?」


「グレース。やっぱり公爵家との縁組はお父さんは気が重いよ……。誤解しないでおくれ。お前はどこに出しても恥ずかしくない娘だよ。でもダミエ公爵家といえば王族公爵。公爵の中でも別格の名門だ。かわいいお前が嫁ぎ先で苦労するのではないかと心配で心配で……」


「お父様。これは国王陛下からお話のあった縁談ではありませんか。臣下である私たちが断れることではありませんわ。それにこのローゼブレイド伯爵家が侮られことなんてないと思いますのよ。うちも名門ですし、お父様はご立派だし、うふふ……私はどこに出しても恥ずかしくない娘なのでしょう?」


「グレース………」


 グレースはローゼブレイド伯爵家の長女で18歳。ローゼブレイドは伯爵家の中でも古くからある名門で、このユーチャリス王国の中で重きを置かれていた。だが、それでも先月公爵家との縁談が舞い込んできた時には当主のオーブリー・ローゼブレイド伯爵もグレースも驚きを隠せなかった。どうしてそんな話が出たのかまったく分からないが、なんでもとある茶会の席で国王が「ダミエ公爵家の長子チェスター卿アンドリューとローゼブレイド伯爵家の長女グレースとの縁談を進めたらどうだ?」と発言したのだとか……。いくらローゼブレイドが名門と言ってもダミエ家は王族公爵だし、さすがにこの縁談は唐突すぎる。父オーブリー・ローゼブレイドも寝耳に水だし、恐れ多い気持ちもあり、「家格が釣り合わない」と国王に話してみたのだが、なんと公爵家の方は乗り気になっているという。


「お父さんは心配なんだよ……。お前がもし公爵家で嫁いびりにでもあったら……。やっぱりこの話を断ろうか。うん。まだ当事者同士も会っていないことだし断るなら今だな。」


「お父様! こんな良縁はなくてよ。私も18。このお話がなくても近い内にどなたかと結婚するでしょう? 公爵夫人だなんてわくわくします!」


 オーブリーはグレースが高位の身分でわくわくする娘ではないことを知っていた。グレースは家のことを考えて無理しているんだな……。きっとまだ幼い弟のピーターの将来のことも考えているに違いない……。王からの縁談だと断りにくいのは確かだ。だが相手のアンドリューがどうしようもない浮気男だったらどうしよう……母親が意地悪女だったらどうしよう……心配は尽きず思わず涙ぐむ。


「お父様! 泣かないで! ほら! 花嫁学校の案内をたくさん取り寄せましたのよ。お母さまが亡くなられてから、淑女教育もおざなりになっていましたし、学校できちんとお勉強しようと思って! 一緒に決めましょうよ!」


 グレースはテーブルの上に置かれた冊子を読み上げ始めた。



『なんで私が公爵家に? 侯爵家に? 伯爵家に? 

頑張るあなたを応援する花嫁スクール、よつ葉学院』


『充実の講師陣! 地域コスパナンバーワン! 

他店のチラシをお持ちくだされば必ずそれ以下にお値引きします。愛と平和花嫁学院』


『安心のアフターケア。ご卒業後も月3度まで相談無料。

※浮気調査は別途料金頂戴します。幸せ花嫁スクールともしび』


「……ねえ。グレース。まともな所がなさそうなんだが……。最後のなんて不幸になること前提だよ? お父さんはやっぱり反対……」


 内心読み上げながらこれはまずいと思っていたグレースは手近な冊子を掴んだ。


「お父様! これ! これはどうです?! 王立の花嫁学校が今季開校だそうですよ!」


『大切なお嬢様に立派な奥方教育を〜

 王立アマリリス花嫁学校。

 当校は実技重視の授業を行います。

 校長メアリー・エヴァンス』


「ねっ! 王立ならしっかりしているでしょうし。実技重視というのもうれしいわ。3ヶ月コースなら婚約式までに余裕で修了できるし! 私ここに行きたいです!」


 本音を言えば、グレース自身は花嫁学校に行く必要はないと思っていた。伯爵家での日々の暮らし自体が淑女教育と思っていたから。だが、父がメソメソして、グレースの顔を見るたびに破談にすると言うので、これは婚約が終わるまで屋敷から離れていた方がいいのでは、と思ったのだ。


「国王陛下のお話を断ることなんてできないもの。でも公爵家はなんで乗り気なのかしら。公爵家なら陛下に「いやです!」って言えるわよね……。親戚なんだし。チェスター卿が良い方ならいいのだけど……。だめだめ、お会いしていないのに悪いことを考えるのはよしましょう。それに! 私学校に行くのは初めてだわ! これはすごく楽しみだわ。実技って何かしら。舞踏会の授業はあるわよね。あまり出たことがないからわくわくするわ! お菓子作りとか…居間の飾りつけとか…月刊「素敵な奥方」や「華麗画報」に出ていたようなセンスを身につけたいわ! 初めての学校ライフ! 目一杯楽しむわ!!!」


 生来楽観的なグレース伯爵令嬢は立派な公爵夫人になるために希望に燃えてアマリリス花嫁学校に入学することになった。





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健気なグレースが可愛らしくて応援したくなります! 花嫁スクールの冊子のネーミングやPRフレーズがめちゃめちゃ今っぽくて笑っちゃいます!ほんと楽しいです(⌒▽⌒)
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