表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外なる日常  作者: セラエノの司書
4/4

路地裏での話

どうもこんにちは!

4話目です。

これからもよろしくお願いいたします。

路地裏。建物の間、道の外れ、 街と呼ばれる程に発展しているなら必ずある。大通りを歩くことに疲れた奴が集まる日陰の場所。今日は……いや今日も俺達はビール片手に傷を舐めあって、日々の疲れをいやす。なんてことない……1日……だった。だったらよかったのに……。




世界は目まぐるしく変化する。たかが10年、されど10年。教師とはその時代にあった教育が求められる。10年で大きく変わった。去年まで許可されていたことが知らない間にダメになっていることも多々ある。そんな中、初めて訪れた時から何一つ変わらないこの路地裏はいつしか自分を支える重要な柱になっていた。


「はぁぁぁぁぁぁぁぁ。辛い。なんで俺教師なんかやってんだろ。」


路地裏にため息が響き渡る。とはいっても、聞いているのはこいつと野良猫、後はネズミ位だが。


「お前が選んだ職だ。諦めるんだな。もしくはやめちまえ」


「まったく、そう単純でもないんだよ!お前はいいよな~。気楽なホームレスで。」


「お前にホームレスのなにがわかるってんだよ。こっちはこっちで飲まなきゃやってられないよ。その日すら生きていけるか怪しい。最近は行方不明者も増えてるらしいし、何かと物騒だよ」


「お前こそ早く定職に着けばいいのに。そんで家買ったら?少しは安心できるんじゃねーの?」


「無理だな。1日雇ってくれる所ですら今では珍しいよ。どこにいっても相手にすらされない。んであんたはなにが辛いのさ?」


「俺?ガキの相手以外あるわけないだろが。思春期真っ只中の高校生達の相手しなきゃいけないんだぞ。あいつら自分が世界の中心だと思ってる。俺達教師は舐められてるから何言っても笑われるんだよ。今のご時世、一発どついてやることもできない。俺がガキの頃は当たり前だったのに……はぁぁぁぁぁ」


「そいつは……同情するぜまったく。相手にされない同士、それが許されてるこのクソったれな社会に乾杯だな」


「ああ。乾杯」


俺達はビール瓶を鳴らし、日々のストレスを酒で流し込んだ。


ビール瓶が二本目に差し掛かろうとしていた頃、警察2人組がいきなり現れた。


「おい!君だな!!こんな所で座り込んで大声で独り言を言ってる奴は!」


「独り言?ここにもう一人いるのが見えてねぇのか?俺達はここで飲んでるだけだ!声がうるさかったなら謝るし抑えるから。それにあと一本目飲んだら帰るよ。だからほっといてくれ!」


警察は心底軽蔑した目をして


「お前…なに言ってる?そこにはお前一人だろうが。アルコール中毒もしくは薬物の疑いがあるな。そうでなくても事情聴衆はさせてもらう署まで連行する。」


そういい放つと俺の腕を無造作に引っ張り無理やり立たせた。


「だからそこにいるだろ!なんでわからねえんだ!しっかり見やがれ!!」


俺があんまりにも暴れるからか…優しかったのか、一人が路地裏に入ってあいつを探しにいってくれた。


ああこれで俺も少なくとも職質と注意で済むだろう……そう安堵したのも束の間………更なる最悪が訪れた。


なんと路地裏から戻ってきた奴が血相変えてこう言いやがった。


「今すぐ応援を!路地裏の奥!行き止まりの壁一面…血だらけです!」


心底ビビった。さっきまで殺人現場の手前で座ってのんでたんだから。それに気がつくとあいつはいなくなっていた。


ここからはあっと言う間だった。知らない事件の容疑者にされて。取り調べは尋問に変わった。聞いた話によると、あそこの血にはここ最近の行方不明者のDNAと一致しただとか、俺は判決を待たず懲戒免職だとか、一気に人生のどん底に叩き落とされた。


だが俺は確信している。俺は無罪だ。全くの偶然であり、犯罪は何一つ犯していない。まもなく裁判が始まる。全財産を擲ってでも日本に証明しなくては………





(次のニュースです。2年前、和歌山県雑賀崎市の路地裏で行われた殺人の疑いで逮捕されていた大村容疑者に無罪判決が下されました。この判決に対して裁判所は、現場には多くの血痕があったがそのどこからも大村氏のDNAは検出されず、大村氏と被害者も関係性がみられないことから無罪判決に至った。と回答しています。……)



「先生、この人無罪になったんですね。」


「ああそのようだな。」


「良かったですね。ハッピーエンドですよ。先生もたまにはハッピーエンド書いてみたらどうですか?」


「俊助……お前も小説家希望ならもう少し客観的に物事を見れるようにしろ。今回の事件…どこもハッピーエンドじゃない。むしろバッドエンドからのto be contenewだ。」


「ええ?でもこの人は無罪だったじゃないですか」


「その人はな。だが、真犯人は2年も捜索されなかった上、今もどこかに潜んでいる。大村氏も懲戒免職喰らって無職だしSNSでは捕まった時の動画が野次馬に投稿されて大炎上だ。」


「そんなことになってるなんて……早く犯人が捕まるといいですね!」


(邪神どもめ。また騒ぎを起こしやがって……イッシュも含め今回は人間に関わる奴が多いな。

…………まさか目覚めが迫っているのか……)


「先生?どうかしましたか?」


「気にするな。うっし!!今日で原稿仕上げるぞ!」


「はい!精一杯サポートさせていただきます。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ