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陰陽師奇譚  作者: 雛罌粟初秋
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第肆話「救出」

陰陽師になって1週間が過ぎた金森柊馬。

次の段階へと行くべく六条宅で特訓する事になった。


ゴンが使用する術『鏡面迷宮』で六条組の組員を難なく倒し、六条彩希と九条憲明と戦った。

『鏡面迷宮』による幻覚を見抜いた彩希と憲明の連携に翻弄されるも柊馬とゴンの連携も負けてはいなかった。


クールダウンで散歩していると柊馬の親友である渡瀬煌志と遭遇し、彩希は煌志と知り合う事になる。


御機嫌よう、雛罌粟初秋でございます。

第参話は第壱話と第弐話に比べ短い、と記載しておりましたが……第壱話の方が短いという事が判明しました。申し訳ございません。

今回の第肆話が『陰陽師奇譚』の中で一番短い内容になるかもしれません。(執筆してみないと分からないのですが)

6月12日 20時50分 華島市内


(警察の巡回が多いね……)


(妖怪と遭遇して行方不明になる方が多いからですね。どの時代の検非違使の方たちは大忙しですね)


 夜風が気持ちいい住宅街を散歩という体で見回りをしながら柊馬とゴンは念話していた。見回りをして気が付いたが、柊馬が言う様に警察の巡回が多かった。


「────!!くッ、そ……」


 誰かが苦しんでいる声が聞こえると、柊馬とゴンはハッとした。


「……!!ご主人様、妖気です。近くに妖怪が、急いでください!!」


「うん、了解」


 柊馬は妖気が感じる方に走った。

 走った先は住宅街から外れ人目に付きにくい場所だった。柊馬の目には、白髪でウェーブのかかったセミロングのバーテンダーの様な装いをした青年が今にも妖怪に襲われそうになっているのが映った。


「そこまでだ、妖怪!!」


 柊馬は勾玉を光の刀に変化させ構え、ゴンも召喚した。全身が紫色の皮膚で覆われ、大きく熊の様な体躯の一つ目の妖怪が柊馬の存在に気が付いた。


「あん?貴様は……」


「……」


 青年も柊馬の存在に気が付き、柊馬を見た。ただ、妖怪に襲われた恐怖だろうか、声が上がらなかった。


「陰陽師か。まぁ、いい。貴様を先に喰ろうてやる」


「行くよ、ゴン」


「はい、ご主人様」


 妖怪が臨戦態勢に入った。柊馬とゴンも迎撃姿勢を取った。

 静かに風が吹く中、一番に動いたのは妖怪だった。妖怪は柊馬との距離を詰め右手の拳を振り上げ、そのまま勢いよく振り下ろした。ドシャっという轟音と共に地面に大穴が空いた。


「ふん、他愛ない。髪一つ残らず弾け飛んだか」


 妖怪が地面から右手の拳を抜き、拳についた泥を払い落としながら、そう言った。そして、ゴンの方に振り向いた。


「主人が死んでも消えないとは変わった式神な様だが……安心しろ、直ぐに合わせてやろう」


「ボクのご主人様は簡単に────」


 簡単にはやられない、とでも言おうとしたのであろうか。しかし、その先の言葉はいくら待っていようとも紡がれる事はない。何故ならば、妖怪の右手の拳がゴンの小さい身体を捉え吹き飛ばしたのである。


「遅くなって悪いな、次は貴様だ」


 妖怪は青年に向かってそう言い放つと、ゆっくりと距離を詰めてきた。


「いや。次は貴方だ、妖怪」


 背後からの声に驚き振り向くと、柊馬が無傷で刀を構えていた。


「何故!?」


 妖怪の疑問に答えず、柊馬は走り一気に距離を詰めてきた。妖怪は迎撃しようとするが、身体が言う事を聞かなかった。


「何が起きたんだ、動かないだと!?」


「『影踏み』」


 ゴンが静かな口調で言うと妖怪は意識を手放した。柊馬の一閃が決まり、妖怪は吸収された。

 吸収を終えると刀を勾玉に戻し、ゴンも勾玉の中に帰った。そして、柊馬は急いで妖怪に襲われていた青年に駆け寄った。


「大丈夫ですか?お怪我などは……」


「大丈夫です、ありがとうございます。貴方は一体?」


 青年が柔らかく微笑み頭を下げると、柊馬の正体を聞いてきた。柊馬が何者なのか気になったのであろう。


「にわかですけど、陰陽師の金森柊馬です」


 青年の問いに柊馬は苦笑気味に答えると、青年は真剣な表情で柊馬を見つめた。


「金森さん、この恩は一生忘れません」


「大袈裟ですよ。お近くまで送りましょうか?」


「いえ、近くなので大丈夫です。お気遣いなく」


「そう、ですか。では、僕はこれで失礼しますね」


 柊馬はそう言うと頭を下げ住宅街の方に戻って行った。




6月12日 21時8分 華島市内


 青年は髪を風に靡かせ柊馬が去っていた方を、ずっと見ていた。


「にわか陰陽師の金森柊馬さん、ですか」


 夜風を気持ちよさそうに浴びながら不敵な笑みを浮かべてそう言った。

 どれ程の時が過ぎた頃だっただろうか。夜風が冷たく感じ帰ろうとすると背後に殺気を感じた。青年の背後に両手が鎌になっている細身の妖怪が立っていた。


「見つけたぞ。よ────」


 何と言おうとしたのであろうか、言葉は永遠に紡がれる事はない。何故ならば、青年が振り向いた瞬間に妖怪の四肢と首が縄の様な物で拘束され、引き千切られ絶命したのである。


「申し訳ありません。今は貴方に構っている暇はないんです」

如何だったでしょうか?

とても短く内容が薄いものとなってしまいましたが、スラスラと読めた事かと存じ上げます。


皆様を楽しませる事が出来たのであれば何よりでございます。


ご感想やご質問は随時受け付けております。此方でもTwitterでも構いません。皆様のお声が私の力になります。


それでは、第伍話までお待ちくださいませ。

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