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第55話「順番」

 それからも続いたババ抜き対決だが、その後俺は一位でもビリでも無いという鳴かず飛ばずの結果で終わった。

 そうなると、四大美女と呼ばれる四人の美少女達による罰ゲームという滅ぼし合いになったのだが、羽生さんの三回回ってワン、柊さんの語尾に『ピョン』、そして楓花の腕立て30回と中々普段拝む事は出来ない彼女達の姿や言動は中々見ごたえがあった。

 ちなみに星野さんはというと、二戦目からはずっとニコニコしていたおかげで心を読まれる事無く、それからは無敗を誇っていた。

 そんな星野さんとビリにならない俺に対して、残りの三人は露骨に不満そうにしていたがこればっかりは勝負だから仕方なかった。


 そうこうしていると19時を回っていたため、そこで一先ずトランプは終了となった。



「では、そろそろお風呂にしましょうか。よければ良太さん、お先にどうぞ」

「ん?ああ、じゃあ遠慮なくそうしようかな」


 柊さんの提案に、断る理由の無い俺は言われた通りお風呂へと向かう事にした。

 まぁよくよく考えれば、彼女達の入ったあとのお風呂はちょっと気を使うし、ここは先に入らせて貰うのが正解だった。


 こうして俺は鞄から寝間着を取り出すと、お言葉に甘えてお風呂を頂く事にした。

 そして柊さんに言われた通り向かった先には、俺の想像の三倍は広いお風呂があった。


 ちょっとした温泉みたいになっていて、これなら全員一緒にでも入れそうだなと思いながら俺はそんな広々としたお風呂を独り占めして堪能する事が出来たのであった。



 ◇



 お風呂から上がると、四人は何やら相談しているようだった。

 一体何事だろうと近付くと、一斉に四人ともが俺の方を振り向く。



「な、なに?どうした?」


 そんな四大美女全員から同時に向けられる圧に怯んだ俺。

 慣れていてもこれなのだから、初見の人間なら泡吹いて倒れるんじゃないかってのは流石に言いすぎ――でも無いのかもしれない。どこの漫画だよ。



「だから、ここは妹であるわたしが次に入るのが順当でしょ?」

「いや、わたしも早く汗を流したいのよ」

「わ、わたしもっ!」

「どうしましょうかねぇ」


 成る程、一体何事かと思えばお風呂に入る順番を決めていたようだ。


 ――そんなに揉めることでも無いと思うけどなぁ


 それでも、そんなちょっとした事でも思い思い話し合っている彼女達の姿を見ると、何だか良いなって思えた。

 境遇が同じだったこともあるけれど、きっとそうじゃなくても彼女達の相性が良いのだろうなと思った。



「では、四人で一緒にお風呂入りませんか」

「え、やだよ狭いじゃん」

「そんなことないですよ。ね、良太さん」

「ああ、うん。広くて快適だったよ」

「という事なので、行きましょう」


 そんな柊さんの提案により、硬直していた順番決め問題も解消した四人はお風呂へと向かって行った。

 結局四人で一緒にお風呂に入るところも、やっぱり仲が良いよなと思いながら俺は笑って四人のことを見送ったのであった。




 ◇



 それから一時間ちょっと経っただろうか。

 お風呂から上がった四人が部屋へと戻ってくる。



「お待たせしました」


 最初に戻ってきたのは柊さんだった。

 まだその綺麗な黒髪は乾ききっていないようで、その濡れた髪にお風呂で少し火照った様子の柊さんは、何て言うか言葉で上手く言い表せない程ヤバかった。

 大和撫子ここに有りって感じだ。



「さっぱりしたわね」

「そうですね、ふふ」


 次に戻ってきたのは、羽生さんと星野さんだった。

 この二人も柊さん同様に、お風呂上りという事もあって普段以上に色気が増していてとにかくヤバかった。

 もうヤバいという感想しか出て来ず語彙力が消失寸前なのだが、ヤバいもんはヤバいんだから仕方が無い。

 そんなタイプの違う美少女三人のお風呂上がりの姿に、目の保養を飛び越えて最早尊さすら感じられた。



「――良太くん、みんなのこと見すぎだから」


 そして、そんな言葉と共に最後に部屋へ戻ってきたのは楓花だった。



「み、見てないだろっ!」

「ふん、どうだか」


 慌てて俺は否定したものの、正直見ていたから今回ばかりは分が悪かった。

 ちなみにそんな楓花はというと、流石に兄妹という事もあり安心の見慣れたものだった。


 しかしそれでも、他の三人と並ぶ楓花を見ていると、やっぱり自分の妹も彼女達と同じ四大美女の一人なんだなという事を分からされてしまう。


 決して見劣りしない自分の妹に何だか普段とは違う感覚を抱いていると、そんな楓花は俺の元へトコトコと歩み寄ってくる。



「――だから見すぎだって」

「あ、ああ、すまん。つい――」

「ついじゃないし、セクハラだから」


 そう言うと楓花は、俺を監視するように隣にくっついて座ってきた。

 お風呂上りのため、楓花から香る甘いシャンプーの香りが鼻を擽る。


 そんな普段と違う状況のせいか、俺は何故か相手は妹だというのに少しドキドキとさせられてしまう。



「お、おい楓花、近いぞ」

「別にいいじゃん。いつもこうしてるんだし」


 全然離れようとしない楓花に困る俺。

 そして人前でくっつく俺達兄妹二人に対して詰め寄ってくる他の三人。



「ちょっと二人とも、人前で暑苦しいんだけど?」

「良太さぁん……」

「本当に、ご兄妹仲が宜しいですね」

「へんっ、兄妹だからこれが普通なんですー」


 こうして、再び言い合いを始める四人。


 時計を見ると21時を回ったところ。

 どうやらこの宿泊、このまま終わりそうにも無い事を俺は何となく悟ったのであった。



さてさて、いよいよ夜も深まってきましたね。

四大美女のお風呂上り姿なんて、相手が良太じゃなきゃぶっ倒れちゃうね!


続きます!

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― 新着の感想 ―
[一言] さて、一時間も。お風呂の中でどんな会議が行われていたんでしょうね/w
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