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第35話「密会」

「悪い、今日も一人で帰るから」


 次の日の昼休み、俺はそう楓花へ告げた。

 すると楓花は、それまで美味しそうに弁当を食べていた手をピタッと止めると、まるで信じられないものを見るようなぎょっとした目で俺の事を見てきた。



「……は?」

「いや、今日も用事出来たから行くところがあるんだよ。だから一緒には帰れないってだけだ」

「用事って何?」

「そ、それは俺の都合だから何でもいいだろ」


 何故か浮気を問い詰められているような状況に陥る俺――。

 そして俺の返事がやっぱり納得いかないのか、尚も信じられないものを見るような目で見てくる楓花。

 確かに付き合い悪い感じがして申し訳ない気もするが、だからと言って一々理由を答える必要も無いだろう。

 というか、別に言ってもいいのだが、言ったところでどうせ十中八九面倒な事になるに違いないのだ。

 それに今回の件は相談に乗る側で人助けでもあるから、出来れば外野の関与は極力避けなければならない。



「――ふーん、そう、分かった」

「そ、そうか」


 だが楓花は、意外とすんなりと受け入れてくれた。

 まぁ普通に考えて、兄妹の予定なんて一々気にする方がおかしいのだ。


 朝は一緒に登校してるんだし、帰れるときは一緒に帰るんだから十分だろ。


 こうして無事?今日も帰りに時間を作る事に成功した俺は、その後は特にその件に触れられる事も無くそのまま今日も下校時間になったのであった。




 ◇



 帰りのホームルーム終了と共に俺は教室から飛び出した。

 昼はああ言っていたものの、気が変わった楓花があとを付けてくる可能性はゼロではないため、俺は急いで下駄箱へと向かった。


 幸い急いだこともあってまだ周囲には人気は無く、俺は独走状態で校門を抜けるとそのまま昨日と同じカフェ目指して歩いた。

 念のため時折後ろを振り返るが、やっぱり俺の考え過ぎなようで後ろをつけてきている気配は無かった。


 こうして今日も無事カフェへとたどり着いた俺は、とりあえず昨日と同じ席へと腰掛けた。

 今日は急いでやってきた事もあり星野さんより先に着いてしまったため、先にコーヒーを注文して時間を潰す事にした。


 スマホを確認すると、星野さんから少し遅れるとわざわざ連絡が入っていたため、俺はお気になさらずと返事をする。


 こうして俺は星野さんが来るまでカフェでのんびり過ごしていると、スマホにまた一件のメッセージが届いた。

 また星野さんかな?と思って確認すると、それは星野さんでも楓花でもなく、なんと柊さんからのメッセージであった。


 ――え?柊さん!?


 驚いた俺は、慌てて何事か確認する。



『良太さん、今どちらにいらっしゃるのですか?』


 俺は表示されたメッセージを見て、一瞬固まってしまった。


 ――え、なんで柊さんが俺の行き先を気にしてるんだ?


 意味が分からなかった。

 俺の居場所を気にするなんて、楓花じゃあるまいし――――そう思ったところで、俺は脳裏に一つの推理がよぎる。



 ――これ、楓花が送らせてるんじゃないか?



 そう、楓花は自分が俺に何か送ったところでスルーされる事を予期しているため、こうして柊さんを介して俺の事を探っているんじゃないかという事だ。


 ――でも、そうじゃなかったら本当に用事があるのかもしれないよな


 そう思った俺は、やっぱりこのメッセージを無視する事は出来なかった。

 仮に万が一の事とかあった場合、無視をした事で取り返しの付かない事にだってなり得るからだ。


 ――まぁそれなら、メッセージじゃなくて電話してくるだろうけど


 だからこれはただの杞憂だろうと思いながらも、俺は既読をつけてしまった事だし諦めて返信をする。



『今、カフェにいます。何かありましたか?』


 よし、送信っと。

 これで何かあればすぐに返信がくるだろうし、俺の推理通りなら次はどこのカフェにいるか辺り聞いてくるんだろうけど……と思っていると、すぐに返信がきた。



『どちらのカフェですか?』


 ん?これは、どっちだ?

 その、まだどちらかはっきりしないメッセージを前に俺が頭を抱えていると、突然声をかけられる。



「風見さん?どうかしました?」


 その声に顔を上げると、そこには星野さんの姿があった。

 何度見ても圧倒的美少女である彼女が、少し心配そうに俺の表情を伺っていた。



「ああ、いや、何でもないんだ。ちょっとね――」

「そう、ですか。あの、用事とかあるなら無理にお付き合い頂かなくてもいいんですよ?」

「ああ、本当なんでもないから――」

「何でも無いとか、酷くない?」


 その声に、え?と驚いた俺は慌てて横を振り向く。

 それは目の前に座る星野さんも同じようで、一緒に驚いて横を振り向いた。


 ――つまり、今の声は星野さんのものではなく、



「ここで何をしてるのかな?良太くん?」

「――ごめんなさいね、良太さん」


 振り向くとそこには、何故か楓花と柊さんの姿があった――。




美少女エスパー楓花ちゃん!!無事兄貴の浮気?現場発見!!


次回、美少女エスパー楓花ちゃん!第36話「修羅場!?」


ついに四大美女の内、3人が揃ってしまいましたね。。

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― 新着の感想 ―
[一言] あちゃー。見つかっちゃいました。 これは、修羅婆は避けらませんねえ。しかし。追跡アプリでも入っていたのかな。
[一言] 浮気現場に乗り込んできたような感じですね。 次が楽しみです。
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