朧月夜
朧月夜は、春の季語だそうです。
てへっ、秋なのに使っちゃった。
仲秋の名月に雲が靄がかった雰囲気で、読んでください。
空に浮かぶは朧月夜。
どんこ舟は私を乗せ、静かに進む。
秋の虫の声、船頭の竿さす音しか聞こえない。
幾ばくかの灯りが、周りをぼんやりと映し出す。
水面に浮かぶは、朧月夜。
どんこ舟の私は、乾杯する。
今宵の月夜と、このご褒美に。
薄闇の水面が、逆さ月夜を揺らす。
見つめているのか、朧月夜。
どんこ舟に揺られる私を。
今宵のあなたと同じ、この心。
明日は満月、晴れるかな。
パシャ。
すーっ。
ポチャ。
すーっ、すーっ。
ポトッ。
すーっ。すーっ。すーっ。
ポトリ。
すーっ。すーっ。すーっ。すいーっ。
竿の音と。
舟がゆっくり、薄闇の間をすすむ。
朧月夜が笑ってら。