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チート魔術  作者: カルシウム革命児
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1章1話

深夜12時、暗い部屋の中で、一台のパソコンは青色と緑色の光芒が点滅を繰り返していた。

 黒髪の少年はうつらうつらとしながら、大きな欠伸を吐きながら、その自室に入り、だらんとした態勢で椅子に座った。


「今日で……最後か」


 ゼロ・オンライン~VRオンラインロボ戦記は月日が発売当初はオンラインプレイヤー数百万人と賑わっていた。当時、六歳だった俺は興奮して、学校から帰ったら友達とは遊ばず、このゲームをプレイした。

 しかし、月日は十年が経過し、ロボット人気の低迷、携帯ゲーム機やソシャゲーの人気の煽りを受け、今日でサービスは終了する。

 最後にログインして、終わろう。

 それはさておき、マウスを触り、ホーム画面をクリックする。

 軽快なRPG音が鳴り、慌てて、VRゴーグルを頭に備えた。

 そして、そこには緑色の草原があった。

 ゲーム上では、俺はゼルスというプレイヤー名でやっている。

 最初の頃はゲームなんて全然下手で、スキル取得に何度もミスしまくって、結局覚えられなくて、パーティーの仲間に怒られたりしてたな……それが悔しくもあり、懐かしくもあり、もう一度あの頃に戻りたいと思う自分がいる。

 夕日が水平線に沈みかけ、鐘がゴーン、ゴーンとゲーム終了の合図を鳴らす。

 この鐘は永遠の終了の合図だ。

 俺は思わず、涙が出ながら、お別れの挨拶。


「終わちまった。ありがとう。永遠にさよなら。ゼロ・オンライン」

 

 俺はログアウトしようと、タップしようしたら、そこにログアウトの欄は無かった。


「ええ……ない」


 突如、


『ゲーム完全クリア報酬 学習能力MAXスキル獲得しました』


 と表記された。


【 ゲーム学習能力MAXスキル】

 スキルは全て学習可能。

 一回目はスキルの情報と放出方法を一度読み込まなければならない。

 二回目で読み込みが完了した時点でスキル取得ができる。

 三回目以降の読み込み完了時点でそのスキルレベルをMAXに出来る。

 慣れてくると、スキルを一度見ればスキルを取得でき、二回目見ればスキルレベルMAXにできる。


「ゲーム学習能力MAXスキル? もう……ゲームサービスは終了したんだ。使い道は無いのに」


 すると、突如、目の前に、男のような黒い影が現れ、そいつは声を発した。


『ゼルス様、ゼロ・オンラインをこれまでご利用頂きありがとうございました。そして、ゼロ・オンラインゲームクリアおめでとうこざいます。ユーザー数1万人のたった唯一のゲームクリア者であり、報酬としてゲーム学習能力MAXスキル獲得されました。ですが、ゼロ・オンラインは今日を持ってサービスを終了します』


「そうだったな。楽しかったよ」


『ところで、ゲーム学習能力MAXスキルはどのようになさいますか?』 


「どうするって……ゲームはもうサービス終了するんだから破棄するよ」


『そのスキル……異世界で使ってみませんか?』


「どういうことだ……?」


『このゼロ・オンラインは確かにサービスが終了します。そして、このゲーム世界は異世界に一部を残したまま移行、構築されるのです』


「異世界? 何を言ってるんだ?」


『残念ながら、事実なのです。ご理解ください。この異世界の人々は異世界神という魔獣によって、日々苦しめられます。そして、いずれ、凶悪な敵に世界は滅びてしまいます。どうか、ゼルス様にこの世界を救って欲しいのです』

 

「その異世界には……人がいるのか?」 


「はい。正確には、このゼロ・オンラインのゲーム世界がサービス終了し、一部分のダンジョンは残り、異世界が創り上げられます。そして、生命が誕生するのです」


「まさか……何億年かかるじゃないか……そもそも、そんなのSFじゃないか」


「たったの数分で異世界は創り上げられ、生命が誕生します。信じられないのであれば、異世界へ行ってみたら宜しいのでは?」

 

 異世界転移……。

 世界を救う……。

 最近の流行りの奴……か。


「面白そうだ。行きたい」


「では、行かせてあげましょう」


 そして、空間が歪み、俺の視界は暗くなった。

 突然、賑やかな声と拍手が聞こえた。

 目を開けると、視界が上下に揺れ、そして、ベッドに横たわる栗色の髪の美しい美女が頬笑みを向けた。


「生まれましたよ」


「ゼルス……」

 

「おぎゃぁぁおぎゃぁおぎゃぁ」 


 俺は一体……。

 ここはいったい。

 本当に俺は異世界に転移し、赤ん坊に転生したのか。

 生まれたての赤ん坊で、視界がぼやける。

 そこは、広い、白い病室で、ベットの上にいた。 

 視界には矢印があった。

 その欄には初期スキルと書かれていた。

 そこに、視線を移すと、


 【鑑定眼】レベル1を獲得しました。


 と音がした。

 視界には情報が張り巡らせている。

 どうやら様々な情報が知れるらしい。

 どうやら俺は栗色の髪の美しい母さんであるアレシアの豊かな胸に抱かれ、ゆらゆらとあやしてもらっていた。

 ベットの回りには、たくさんの貴族風の身のこなしをしている世界神樹を牛耳る十魔王家であるブリュンヒルデ家の人達だ。

 俺の家族だそうだ。

 なんだ?

 また初期スキルと書かれていた。

 皆のお腹には様々な色の魔力が見える。   

 

【魔力探知】レベル1スキルを獲得しました。


 青や赤や黄色。しかし、どれも、やや黒ずんでいる。

黒ずんだ魔力の色程、醜悪な心を持っているらしい。

 ずっと見ている人間不信になりそうだ。

 母と姉だけは綺麗な、優しい魔力だった。

 この二人と仲良くなれそうだ。

 そうだ、近親者の情報を見ておかないとなこれから寝食共にするのだから。

 俺の兄であり、ブリュンヒルデ家長男エンリケ。

 黒髪、右眼に眼帯を付けた、優しげな笑顔をしているものの、10歳ぐらいの男の子にしては大人び過ぎていて怖い。

 顔は笑っているものの、左眼は笑ってはいなく、眼の奥はいつも殺意に満ちていた。

 どのような人生を歩んだら、そのようになるのだろうかと不思議で仕方がない。

 でも、どことなく、俺と似ている性格だけではなく、黒髪や顔が。

 違うのは俺は暗い青色の両眼で、エンリケは赤い左眼だ。

 それから、栗色のショートカットの髪をした、母に似た優しげな長女ミルカ。

 後の親戚は今後接する機会もなさそうなので良いだろう。

 そして、最も闇のように黒ずんだ魔力を持った我が父、ブリュンヒルデ家の当主であり、ブリュンヒルデ王国の現皇帝ハインケスがいた。

 短い銀髪、額から鼻には戦士の傷、角張った顔、厳しい黄金の眼光、銀色の逞しい口髭を生やした50代ぐらい大男。

 苦手な人というより、絶対に親愛を持つことはないと確信した。 

 

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