ミッションはクリアしたのだが・・
レイナが結界を張っているため、雷雲を呼ぶエレクトロの呪文は使えない。
しかしぶっちゃけ、今の俺にはそんな魔法は不要なのである。
なにしろレベル27を超え、HP無限大、クリティカル出現率100%というチートな戦闘力なのだ。
この程度のモンスターどもなら、ただぶん殴るだけで十分だ。
空中から襲い掛かってきたガーゴイル3体を突きと蹴りの連続技で瞬時に屠ってやると、残る2体が空に逃げようとする。
しかしレイナの結界に遮られ、外に飛び去ることはできずバタバタしていた。
俺がサイを二本引き抜いてガーゴイル2体に投げつけると、翼を射抜かれた奴らは墜落してきたのでトドメを刺す。
そうこうしている間に、ミエルはワイバーンどもと戦っていた。
ワイバーンは亜竜と呼ばれるドラゴンの亜種だが、本物のドラゴンを切り裂けるドラゴンカッターを持つミエルの敵ではない。
ものの1、2分の間にワイバーンどもをすべて倒した。
ライカは熱線銃でオーガどもを壊滅させている。
マシウスの王座を乗せているドラゴンが炎を吹いた。
その炎の前にレイナが立ちふさがった。
「この私に向けて炎を放つなんておバカさんですわ」
ドラゴンの炎はレイナの蛇炎術に操られ、巨大ミミズであるワームの一団を焼き払った。
俺はあの気味の悪い奴らには触りたくなかったので助かる。
こうしてモンスターどもは全滅した。
残るはマシウスとドラゴンだけである。
「な、なんなんだ、このバケモノどもは・・・」
「バケモノとは失礼な奴だな、マシウス。もうお前に勝ち目はない。観念してバチャタンを明け渡せ」
俺はマシウスにそう言い放った。
「ちょっと待て、明け渡せば儂の命を助けてくれるのか?」
「別に殺すまでも無いさ。お前の身柄は王国に引き渡すがね。王国がどう処分するかは俺の知るところじゃない」
マシウスはどうやら観念したらしく、ドラゴンの背の王座から地面に降りてきた。
「わかった。儂は投降する。しかし頼む、このドラゴンには罪は無い。この子だけは解放してやってくれ」
ドラゴンが悲しそうな目でマシウスを見た。
マシウスはもともとドラゴンライダーだったようだが、ドラゴンには愛情をもって接していたらしい。
「いいだろう。ドラゴンは解放する。かわりにお前の部下に命じて、バチャタンの役人や兵士たちを牢獄から解放してくれ」
「わかった」
マシウスはそういうと、背後で身をひそめるようにしていた新王都の役人たちに命じた。
まもなく捕らえられていたバチャタンの役人や兵士たちは、広場に出てきた。
そしてレイナは結界を解いた。
これで一応はミッション・クリアである。
「それにしても、どうしてローメン将軍は僕たちの呪縛をあっさり解いたんだ?」
ミエルが俺に尋ねる。
「レイナのおかげさ。ローメン将軍が俺たちに投降を呼びかけていた時、背中にレイナの呪符が貼り付けてあるのが見えたんだ。だから名乗り出たんだよ」
「ああなんだ。マーカスはこうなることがわかっていて名乗り出たのか」
「そうだよ。レイナ、よくやってくれたな」
レイナがこちらを向いて微笑む。
こういう笑顔はかわいいんだがな。。。
そこへローメン将軍がつかつかと歩み寄って来た。
「マーカス殿。このローメンを見くびってもらっては困りますな」
「え?というと」
ローメンは自分の背中に器用に手を回すと、レイナの呪符をベリッとはぎ取った。
「このローメン、このようなもので操られるほど弱い精神力ではありませんぞ」
レイナが目を丸くして驚いている。操られている人間は、自分で呪符をはがすことはできないので、本当に術がかかっていなかったのだ。
「我々は傭兵部隊です。雇い主の命令には従う。しかし、卑怯なふるまいには従えない。それが我々のプライドなのです」
「まいったよ、ローメン将軍。感謝する」
「さて、雇い主が投降してしまいましたからな。我々は退散いたします。またどこかでお会いしましょう。全隊、進め」
こうしておどろくほど迅速にローメン軍はバチャタンの街を後にした。
さて、後はマシウスに聞きたいことが山ほどある。
「マシウス、お前に聞きたいことがある。ん?マシウスどうした?」
マシウスの様子がおかしい。目が虚ろである。
そして、ゆっくりと前方に倒れた。その背後にひとりの男が立っている。
新王都の職員たちと同じ身なりだが、手には・・・サイ?間違いなくサイを持っている。
「ミエル、ライカ、レイナ、気を付けろ。新手の敵だ!!」




