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俺の名はマーカスというらしい。

どうやら神様がくれたこの鞄は、俺の現在のステータスを表示する機能を持っているらしい。


レベル:1は当然として、HPとかMPとかの表示は無いのか?


スキル:カラテ・・空手は大した腕前ではないがこれはまあいい。


武器と防具は持っていないのだから、この項目が空白なのもいい。


魔法:ググル? この世界でどうやってググればいいのか意味がわからない。


所持金は10000キルト。神様は多少のお金も持たせてくれたようだ。

通貨単位がよくわからないが、異世界モノのお約束で1キルト=1円の価値と思っておけば間違いないだろう。


そしてアイテムとは?

この鞄は見たところ空っぽなのである。


思い立って俺は「魔法の鏡」という文字を押してみた。


やはり思った通りだ。


鞄の中に、何やら鏡らしき物が出現したのである。

この鞄はいわゆるアイテムボックスになっているようだ。


俺はその鏡を取り出した。

木で出来たフレームには凝った(つた)のような植物の彫刻が施されている。


鏡に映った俺の顔は見慣れたおっさんではなかった。


まだ少年期を脱していない若者の顔だ。

黒髪と黒い瞳は以前のままだが、色白な細面(ほそおもて)で切れ長の目。

なかなかの美少年である。これなら女にモテるかもしれない。とても気に入った。


この鏡はガラスで出来た普通の鏡のようだが、はて?ここは中世ヨーロッパではないのか?

この時代にこのような平面のガラスの鏡が存在したのだろうか?


俺は自分の知識の乏しさを呪ったが、ここは転生前の世界の歴史上の中世ヨーロッパではないからまあいい。

それよりなにより、異世界転生において俺には大変な欠点があるのだ。



俺はこのようなRPG風の世界に関する知識が非常に乏しい。



いや、RPGが嫌いというわけではない。

それどころかRPGにはかなりハマった過去がある。


それこそ、サイコロ転がすボードゲームやゲームブックの時代からやっているのだから、ベテランといって良いかもしれない。

ドットが動くPC版ハイドライドをプレイした経験だってある。


しかし如何せん、俺のRPG知識は古すぎるのである。


だいたいDQⅣあたりで止まっているのだ。



悩んでいても仕方ないので、魔法の鏡の使い方を考えてみた。


撫でたりさすったりしてみたが何も起こらない。いかん、いかん。あまり苦労してはいけない。

もう少しだけ考えてみよう。


そうだ、魔法:ググルってのがあったな。あれは呪文だよね。


そこで俺は唱えてみた。


「ググル!!」


すると何やら聞き覚えのある起動音が響いた。

そしてしばらく待つと、ガラスの鏡はモニターのように見覚えのある画面を映し出したのである。


・・・検索窓だ。


画面にタッチするとキーボードが表示される。

俺は試みに「小説家になろう」と打ち込んで検索ボタンを押してみた。


鏡にはやはり見覚えのある検索一覧が映し出された。


どうやら、ググルの呪文を唱えることで魔法の鏡は以前俺が居た世界のネットに接続できるらしい。


これはかなりチートだぞ!!!


これから先、困ったときには前に居た世界の知識をいくらでも手に入れることができるのだ。


この世界での出来事を小説化して投稿することもできる。そもそもそれが当初からの目的だもんね。



俺は魔法の鏡を鞄に仕舞った。

その瞬間に、鞄の中身はもとどおり空っぽになった。

もし、この鞄が容量無制限であれば、これもかなり役に立ちそうなアイテムといえる。



・・・さてと。。



俺はもたれていた大木から立ち上がり辺りを見回した。


まず何をすればいいのかわからないが、ここは商店街のような市場である。

あちこちの店先からは、旨そうな食べ物の匂いがする。


俺はとても腹が減ってきた。


一軒の店で串焼きの肉を買うことにした。


「親父、この肉はいくらだ?」


「へい、200キルトでございます」


「ひとつくれ」


そう言って俺は鞄の裏蓋にある所持金の文字を押した。

鞄の中にやはり革でできた巾着のようなものが出現した。


巾着を開けて100キルト硬貨を2枚取り出し、肉と引き換える。

巾着を鞄に戻すと、所持金の表示は9800キルトに変わっていた。


肉を頬張ると、旨味の濃い肉汁が口の中に広がる。

この世界の料理はなかなかにイケるようだ。これはありがたい。




肉を齧りながら市場を散策してみた。


初めての世界なので、まるで海外旅行に来ているようで楽しい。


しかし、俺はすでにこの世界の住人なのだ。ほら、俺を呼ぶ声がする。



「マーカス!またこんなところでふらふら遊んでるんだから」


向こうから小走りでやってくる薄手の白いチュニックを着た少女の声だ。


背はあまり高くなく細いが手足が長く顔が小さい。

日に焼けて少し浅黒い肌ではあるが、大きな目が印象的で鼻筋の通った顔だちは美少女といっていいだろう。


この世界の記憶が俺の脳に上書きされる感覚がする。

俺の名はマーカス。18歳になったばかり。


この少女はマイラ、17歳。俺の幼馴染だ。


「あなたのお父さんがさっきから探しているわよ。かなり機嫌悪そうだから早く帰って」

いきなり美少女キャラ登場だけど、大丈夫?ちゃんと絡めるのだろうか?

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