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メアリーに蘇生術を依頼した

朝日が昇るころ、俺たちの馬車はメーレン湖に着いた。


湖のほとりに建つ古びた屋敷。

これがメアリー・シェリーの住居兼研究所らしい。


俺とミエルは馬車の床板を外したものを担架がわりに、ミンミンの身体を寝かせて担いだ。

3人は急いで屋敷に向かい大きな扉を叩く。何度も、何度も。


10分ほど叩き続けたところで、ようやく扉が開いた。


「なんだい朝から騒がしいわねえ」


屋敷の中から、わりと背の高い老女が現れた。

彼女がメアリー・シェリーか・・・


200歳を過ぎた老婆と聞いて、もっと醜い魔女のような老婆を想像していたが、せいぜい70歳そこそこに見える老婦人である。


「メアリー・シェリー、朝早くからすまない。あなたの力を借りたいんだ」


俺がそう言うと、メアリーは板の上のミンミンを一瞥した。


「あらあら、朝っぱらから死体を運んできたのかい。縁起でもない客人たちだこと」


そう言うとメアリーは邸内に入るように促した。

俺たちは大広間に通される。


「死体はそこらに置いとくれ。用件は聞くまでも無いわね。その子は死んでどのくらいだい?」


「おおよそ12時間ほどだ」


「まあギリギリの線だねえ。急いで施術しなきゃならないけど、その前にあなたたち報酬は払えるんだろうね」


「お金ならあります。おいくらですか?」ライカがそう応えた。


メアリーは含みのある笑顔を浮かべて言った。


「お金ねえ。お金はまあ1000万いただいてるがね、お金だけでは十分じゃないよ」


「どういう意味ですか?」ライカが尋ねる。


「あなたたちの持ち物を見せておくれ。いちばん価値のありそうなものをいただくよ。お金で買えないものがいいね」


俺たちは、広間にある大きなテーブルに武器や道具すべてを並べた。


「ふーん。なかなか面白いものを持っているわねえ。おや・・これは。。」


メアリーは俺の3種の武器を手に取って品定めするように眺めた。


「間違いない・・これはチョーキの武器だね。おや、坊やの着ている道着と防具もチョーキにものだね。これは珍品だよ」


メアリーは武器をテーブルに戻すと言った。


「よし決まった。チョーキの装備を一式いただくよ。報酬は蘇生の成否にかかわらずいただきます。それで構わないかい?」


もちろんミンミンが生き返る望みがあるのなら、そんなものは惜しくない。

しかしここでミエルが口を挟んだ。


「ちょっと待てメアリー。ミンミンさんが生き返る確率はどれくらいあるんだ?」


「過去の施術で死体が生き返る確率はおよそ2%ほどだったねえ・・」

メアリーはそう答えた。


「ふざけるな!」ミエルが怒鳴りつけた。


「報酬を取るだけ取っておいて成功率は2%だと?マーカス、この婆さんはやっぱり詐欺師だ。帰ろう」


「マーカス、ミエルの言うとりだわ。やはりこの蘇生術はインチキだったのよ」

ライカも同意見のようだ。しかし・・


「いや、待て・・」


俺はここで帰るわけにはいかない。

たとえ2%でもミンミンが生き返る可能性があるのなら。


「報酬は言い値で支払う。チョーキの装備もだ。だから全力を尽くしてくれ」


メアリーはにんまりと笑った。


「もちろん全力を尽くすわよ。でももうひとつだけ言っておきましょう。肉体を生き返らせるよりも心を蘇らせるほうがずっと難しいんだよ。蘇生が上手くいったとしても、生き返ったその子はあなたたちが知るその子ではなくなっているかもしれない。それでも構わないかい?」


「わかった。とにかく頼む」


俺は深々と頭を下げた。


メアリーはもう一度にんまりと笑った。

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