俺たちは旅に出ることにした
退院したばかりのミエルと俺は上級冒険者サロンに居た。
例によってサービス係の女の子たちが群がってくる。
なにしろ俺とミエルはこのサロンの客の中で1、2を争う美男子なのだ。
もちろん俺が1の方だ。
ミエルがカクテルを注文し、俺はコーヒーを頼んだ。
俺はツーハンで取り寄せたインスタントコーヒーをバーに預けているのだ。
「大事な話があるからみんな外してくれ」
飲み物が届くとミエルが女の子たちを追い払った。
「マーカス、君は上級冒険者の間では評判が悪いぞ。ここの女の子たちに片っ端から手を付けているんだって?」
たしかに、今このサロンに40人ほど居る女の子たちの約半数くらいとはベッドを共にした。
しかし別に無理強いしたわけではない。
「ミエル、話というのはそんなことなのか?」
「いや違う。これは今のところ極秘なんだが、王国の中部地域であるアルメディオ地方の大都市、バチャタンがモンスターを含む謎の勢力に占拠されたんだ」
「占拠されたって?極秘たってそんなでかい事件、いつまでも隠しておけないだろ?」
「もちろん時間の問題さ。だからね、僕たちでバチャタンに乗り込んでとっとと奪還しちゃわないか?」
「お前、なかなかストレートな性格だな。気に入ったぞ、その考え方」
「ありがとう。その一団の首領こそが、王国全土の異変を裏で操る黒幕である可能性もある。調査だのなんだの回りくどいことやってるより、そいつを倒す方が手っ取り早いだろ」
「よし、乗った。俺たちでこの一連の事件を解決しちゃおう」
ミエルは旨そうにカクテルを飲み干した。
「マーカスは話が早くてたすかるよ。さっそく明日旅立とう。ところでこれは別の話なんだけど・・・ええと、その。。」
ミエルは先ほどとは違い言葉がすらすらとは出ない様子だ。
「あのさ、ミンミンさんてやっぱりマーカスの愛人のひとりなのかい?」
俺はコーヒーを吹き出した。
「あ、あのなあ・・俺がどんな評判か知らんし、身に覚えがなくはないけどな、俺は誰かれ無しに手を出すわけじゃないんだよ」
「本当に?ウソじゃないな。彼女はカレシとかいるのかな?」
「いや、俺は四六時中一緒に居るけどその様子はないな。つーかお前まさか」
「うん、もしよかったら僕と付き合ってもらえないかと思って。誘ってもいいかな?」
「はあ?ミエルお前、ロリコンだったのか」
ミエルは突然テーブルをバーンと叩いた。
サロン内の全員が驚いてこちらを向く。
「失礼なことを言うなマーカス!ミンミンさんは大人の女性だぞ。どうして僕がロリコンなんだ」
ああ確かにそう言われてみればそうだった。
「おまえの言う通り、これは俺の失言だった。謝るよ。俺は他人の色恋沙汰には口を挟まないから好きにやってくれ」
「そうか、ありがとう。ミンミンさんてどこに住んでるんだろう?」
「俺ん家だよ」
ミエルは俺を睨みつけた。
「マーカス、僕をからかっているのか?君たちはやはり同棲しているんじゃないか!」
「違う、違う。部屋を貸しているだけだよ。肉体関係とか無いから疑うな」
そう言うとミエルはようやく落ち着きを取り戻した。
「ああごめん。まあ、とにかくそういうことで。君がリーダーなんだから、バチャタン行きの指令をパーティーに命じてくれたまえ。今日はこれで失礼する」




