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初クエスト達成祝いで散財した

「はい、54体すべて生体で確かに受け取りました」


冒険者ギルドの買い取りカウンターの係員の女の子が、檻に入れられたラビットを数え終わるとそう言った。


「では16,200キルトです。お確かめの上、領収書にサイン願います」


俺は金を数えてから領収書にサインした。


ラビットは食肉として、そして毛皮材料にも使われる。

考えてみればそれが1体300キルトとは、ギルドも買い叩くものである。

しかしその利益があるからこそ、あの贅沢な上級冒険者サロンが維持できるのだろうから文句は言えない。



「ミンミン、約束の3割・・4860キルトだ」


取り分を渡すとミンミンはうれしそうな顔をしてローブの内懐(うちぶところ)に仕舞いこんだ。


「ああうれしい。これで今夜は晩御飯が食べられますわ」


「ミンミン、晩御飯は俺が奢るよ。よく働いてくれたんだから、そのくらいはさせてくれ」


するとミンミンは驚いたように言った。


「マーカス様、ミンミンをディナーにお誘いくださるのですか?」


「ディナーなんて大げさなものじゃないけどさ、俺たちの初のクエスト達成祝いしようよ」


「・・うれしい。。」


そういうとミンミンはまたぼろぼろと大粒の涙をこぼしはじめた。


「ちょ、ちょっと!お前いちいちこのくらいで泣くなよ。なんか人が見たら俺がいじめてるみたいじゃん」


ミンミンは感激屋のようなので注意が必要そうだ。



「マーカス様、今日のクエストは終わられたんですか?」


声のする方を振り返ると、上級冒険者サロンの童顔の美少女ハイネだった。

昨夜の記憶がいろいろと蘇る・・細かくは書けないけど。


「うん、今日はもう終わった」


「今日はまだ一度もサロンにお見えになっておられませんね。これからいかがですが、お食事のご用意いたしますよ」


「ああそうね・・・」


そう言ってからチラリとミンミンを横目で見ると、むっとした怖い顔で睨んでいた。


「ん・・ごめん。今日は予定ができたんだ」


「そうなんですか。私はあと2時間ほどで仕事あがりなんですけど、そのころはお時間ありませんか?」


ぐいっ・・俺の服の裾をミンミンが引っ張っているのがわかる。


「ごめん・・・今夜はいろいろ用事があって・・・」


俺は泣く泣くハイネにそう言った。

ハイネはすごくがっかりした顔をしている。


しまった。クエスト達成祝いは明日の朝飯くらいにしとけばよかった。

美少女からの誘いを断るなんて、もったいないこを。。。




俺の住む町、マリプはメルディオス王国の南、ラミラス地方にある。

南の港に近いため、交易で栄えた町だ。

そのため、珍しい外国料理を食べさせるレストランも多い。


俺とミンミンはそんなレストランの一軒に入った。

店はかなり混雑していて活気がある。


テーブルに着くとウェイターがメニューを持ってきた。

しかしそれを見ても料理の内容がよくわからない。


「この店の自慢の料理は何?」


「当店一番のオススメはヤム・ペット・プラーですね。魚介類をスパイスと調味料で和えた料理で、複雑で芳醇な味わいは病みつきになりますよ。辛い食べ物は大丈夫ですか?」


「辛いのは大好物だ。それを頼むよ」


「ご一緒にライスとスープはいかがですか?」


「ライス?米があるのか?ぜひ頼む。スープもオススメを持ってきて」


この世界に来て初めて、米の飯が食べられる!これはうれしい。


ウェイターはオーダーを書き留めると、ミンミンの方を向いて言った。


「おぼっちゃんは何なさいます?辛くないお子様ランチをご用意できますが」


!!ああ・・言っちゃったよ、このウェイター。。


「失礼な!私は大人の女です!辛い物も平気です!マーカス様と同じものを持ってきてください!」


ミンミンは大声でウェイターを叱りつけるように言う。

周りの客がビックリしてこちらを見ている。


「し・・失礼しました。それでは同じものをおふたつお持ちします」



運ばれてきた料理は転生前の世界のタイ料理に似ていた。

辛いだけでなく滋味に富んでいて、びっくりするくらい美味い。

ぱさぱさに炊かれたご飯はジャスミンライスらしく香りが良く、料理によく合う。


ミンミンは顔を真っ赤にしながら食べている。フードの下で額から汗が流れ落ちているのが見える。


「ミンミン大丈夫か?辛いんじゃない?」


「いいえマーカス様。辛いお料理は大好きですわ」


「しかし汗かいてるんだから、そのフード取ったらどうよ?」


「いえ、結構です」


「だいたいさ、そのフード被ってるから男の子に間違えられるんだよ。いっぺん取ってみな」


そう言って俺がローブのフードに手を触れようとすると、ミンミンは激しく抵抗し怒った。


「マーカス様!触らないでください!ミンミンはマーカス様がお相手しているような、ふしだらな女ではありませんわ」


・・・いや、ぜんぜんそういうつもりはないのだが。。



料理を食べ終わって、お茶とココナッツミルクを使った甘いお菓子のデザートに入るころにはミンミンの機嫌も良くなっていた。


「ああ、こんなに贅沢なお料理やお菓子をいただけるなんて夢みたいですわ」


女の子の機嫌を直すには甘いものというのはこの世界でも通用するみたいだ。覚えておこう。


「ところでミンミン、お前、実家はこの町じゃないだろ?どこに住んでるの?」


「ミンミンは北のノスケス地方にある村から来ました。学生の間は奨学金でやりくりしていましたが、卒業したらお金が無くなったんです。アパート代が払えないので追い出されました」


「じゃあ、今はどこに寝泊りしてるんだ?」


「ギルドですわ。冒険者ロビーは24時間開放されていますから」


「えっ!?じゃあお前、昨晩別れてからずっとあそこに居たの?」


「そうですわ」


ミンミンは二日も何も食べずに、あそこにひとりで居たのか・・・


俺はしばらく考えてから言った。


「お前、すこしお金が貯まるまで、俺の家に居ろ。ウチには両親も居るし空いた部屋もあるから」


ミンミンは黙って目を見開いて俺の顔を見つめた・・あ、マズい。


「待てミンミン、泣くなよ!頼むから。。」

ラビット狩りで所持金は14140キルトになりましたが、ここの食事代が4500キルトかかったので、所持金9640キルトになりました。もっと節約しながら稼がなきゃ。。

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