表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

00:勇者になりたい少年の夢

 そこは魔法とか飛行艇ひくうていとかドラゴンとか妖精とか魔王とかが存在する普通のファンタジー世界。魔族と人間との戦争があったり、勇者様が大冒険したり、もう王道街道まっしぐらな世界。

 俺はそんな世界のそんな城下町の自分の家の屋根の上で、寝転がって空を見ていた。汚れのない澄み切った空、魔物とか勇者とかが居るのが信じられないほど、空は晴天だった。雲一つないその空には、群れを成した白い鳥たちが鳴き声を上げながら西の空へと飛んでいく。

 買ってきた清涼飲料を飲み干して、入れ物を投げ捨てた。煉瓦造りの地面に衝突して割れてしまったガラスの瓶から少し液体が飛び出す。まだ少し入っていたらしい。勿体ない事をしたなー俺。


 俺の名前はセピア。何でそんな名前になったのか詳しくは教えられてないが、親曰く「名前付けんの面倒だったから適当」らしい。

 そんな俺もそろそろ十六歳だ。この世界では十六歳になると成人扱いだ、十六歳を越したらお酒がぶ飲みしようが煙草を吹かそうが全く問題にならない。だが、それと同時に十六歳になったら職を決めなくてはならないのだ。

 城を防衛するために衛兵になっても良い。依頼主を護衛する憲兵になっても良い。別に職は戦うものに限ったわけではなく、商売を始めてもいいし農業を始めても良い。ようは何でもいから十六歳になったら職を決めろ、という事だ。

 勿論俺にも夢がある。小さな頃からずっと想ってきた夢が。だが、その夢は叶うはずがない。こんな職業、簡単になれるものではない。だから俺はなれるはずのない職業になれた光景を、ここで空を眺めながら想像している。


 俺は勇者になりたい。世界を旅し、世界を守る勇者に。




 王国クリフォート。人口も少なく国土も狭い国だが、温暖な気候となだらかな土地を利用し、農産物の生産に力を入れている農業国で、俺の今いるこの国だ。

 海にも隣接していて他国との貿易が盛んなこの国は、世界で一番裕福と言われる国で、俺達のような階級の低い普通の村民もある程度裕福な生活ができる。自由に職を選べるとは言え、やはりこの国では農業が一番稼げる仕事なのか、人口の八割が農民だ。

 陸続きでヴァーデリア帝国という世界の中心になっている国とお隣なお陰か、クリフォートとヴァーデリアは同盟を結んでいて、クリフォートはヴァーデリアの食糧補給源として守られていた。そのお陰でここ百年ほど戦争などもなく、国民は平和ボケ真っ盛りだ。

 でも、俺は外の世界を知りたい。俺はこの国から出たことがなく、外のことは大人たちの話でしか聞いた事がないからだ。大人たちの話では、この国の外では勇者と魔物が戦っていて、世界中どの場所も戦場になっているらしい。その中で唯一戦場になっていないのがここ、クリフォート。

 そこまで聞かされているのなら、外の世界を見たくなるのも当たり前だ。ついでに世界を救っちまおうと勇者になりたいという夢も芽生えてきたのだ。


「はははっ、お前が勇者? 寝言も寝て言えよな」

「おいおいレイト、俺は本気なんだぞ。笑うのは流石に酷いだろ」


 十六歳の誕生日の前夜、俺は自分の夢を親友のレイトに話した。だが、レイトは腹を抱えて笑うだけだ。俺の言っていることを冗談か何かと勘違いしているらしい。

 今、時計のハリは十時を指している。明日に成人の儀と呼ばれる成人と認められるための儀式を早朝から始めるため、早く寝なくてはならないのだが、俺は明日勇者になれる自信がない。というか皆の前で勇者になりたいっていうのが恥ずかしい。だから、それを相談しにレイトの家までやってきたのだ。

 レイトは昔不幸で両親を失ってしまい、一人暮らしをしている。まあ彼は今はそこまで悲しんでいないようだが。この木製の家も一人暮らし用なのか、俗にいうワンルーム程の大きさだ。


「あのさ、俺本当に勇者になろうと思ってるんだが、どうすればいいのか分かんないんだよ」

「ふーん、勇者にねえ……」


 流石に俺の発言が冗談ではないことに気がついたようだが、それでもレイトはまだ俺のことを物珍しそうな目で見てくる。それに顔に驚きの表情がしっかりと表れている。

 まあ、彼の気持ちも分かる。夜中いきなり親友に自宅に押し掛けられたと思ったら「勇者になりたいんだがどうしたらいい?」と聞かれているわけだし。俺だったら混乱は必至だ。


「多分明日勇者になりたいって、成人の儀で言っても、通用しないと思うぜ」

「ああ、やっぱり……」


 分かり切っていたことだが、親友に言われると余計心の傷を抉られた気分だ。なんかショックがかなりでかい。

 でも、それでも、俺は夢を諦めきれない。俺は人一倍好奇心が旺盛らしい。ここまで来てまだ諦めがつかないなんて、自分でも想像していなかった。

 そんな時、レイトは口を開いた。まるで俺の気持ちを読んでいたかのように、いたずらをしているような声で俺に話しかける。


「別に、勇者になるための方法が無いわけじゃないぜ」


 レイトは心配無用と俺に合図を送ってきた。

初投稿です。後半の方は眠い眠いと思いながら書いたので、若干文章が狂っているかも知れません。

そんな訳で、ずいぶんありがちなスタートを切った勇者になりたい少年の旅ですが、十話程度で終わると思います。mentalの予告はかなり当てにならないのですが(汗

最後に、この小説は殆どmentalの妄想で形成すると思われます。ご注意ください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ