表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぼくは。素の嘘つきが嫌い  作者: 浅白深也
1/26

プロローグ

 誰の姿も見当たらない、まだ辺りを暗闇が支配する未明の学校。


 ぼくはどこか埃臭い階段を一段ずつ上がる。ゆっくりと。踏みしめるようにして。


 階段を上がった先にあるスチール製の両開き扉。


 鍵はかかっていなかった。まるで誰かがその未来に導いているように。その未来が訪れるのを望んでいるように。


 扉を開け放つと、ぼくの横を冷たい風が勢いよく通り過ぎていく。扉はバタンッと怒号のような音を出して閉まった。


 もう戻れない。一歩一歩と死の淵へ近づいていく。


 あらかじめ用意しておいた書き置きが風で飛ばされないように、靴を脱ぎ、その下に置いた。


 フェンスを乗り越え、つま先がはみ出すほど幅の短い足場に降り立つ。


 靴下を通り抜けて足裏に感じるコンクリートの冷たさ。体に吹きつける風。すべての生き物が死に絶えたような静寂。今まさに向かおうとしている眼下は、暗くてよく見えなかった。


 前を向いて目をつぶる。すると走馬灯のように苦しみに満ちた記憶が脳裏に呼び覚まされた。


 日々絶えない周りからの罵詈雑言。暴力。迫害。孤独。裏切り。なにがきっかけだったなんてもう思い出せない。


 ほんとうに最悪な学校生活だった――――


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ