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精霊の森  作者: 富幸
38/60

その後 5

 僕は一人っ子で学校でも一人で居る事が多い、大勢の中が苦手で友達も少ないと言うより友達だと言う子が居ない勉強は出来ても友達は出来ない。

 そんな僕が年下とはいえ女の子と話をしている。

 でもこうやって彼女と話をしている。

 と真夏の暑い日差しも苦にならないし気持ち良い

 神社以外で会うのはこれが初めてである。

 この家に来た時は分けの分らない不安感でいっぱいだったが彼女と話していると不思議に心が安らいだが今度は別の意味で気持ちが高揚してきた。

 僕はこの子が好きだと意識したせいである。

 そう思うと顔が熱くなるのが分るし彼女の顔が見られない。

 話をしていても段々苦しくなる。

 これ以上此処に居られないと思い

「僕今日神社に行かないから家に帰るね」

 と少し強めに縁側を離れた。

 彼女は

「ウン」

 と言っただけだった僕は門を出るまで後ろを振り返らなかった。

 門を出て母屋の方を振り返ると彼女が手を振っている。

 僕はペコンと頭を下げ道に出ると何故あの様な態度を取ったのか後悔したが唯一の救いは彼女が手を振ってくれた事だった。

 家に帰って縁側の柱に持たれ田圃の水面を渡って来る少し冷りとした心地よい風に吹かれていると考える事は彼女の事ばかりである。

 暫くするとお爺ちゃんが帰って来た。

「いっちゃんどうしたそんな所で柱にもたれて」「あっお爺ちゃんお帰り用事は済んだの?」

 お爺ちゃんは僕の側に腰掛け

「ようやく結界だけ済んだが大変なのは夜になってからだ」

「やっぱり来るの」

「まちがいない夜には絶対外に出てはいけないよ」

「僕さくらちゃんに話したけどいけなかった」

 お爺ちゃんは少し考えていたが不意に

「いっちゃんはさくらちゃんが好きなの?」

 と聞いて来た僕は素直に

「ウン」

 と答えると

「やはりなー」

 と呟いた。

「どうして」

「精霊様が教えてくれたからだよ」

 「精霊様は未来が分るの」

「サーアお爺ちゃんには分らないけど精霊様には分るのかも知れないね」

「じぁ僕達の未来も決まっているの」

「精霊様はそうとは言わなかったよ、そもそも未来とは今日の積み重ねであり過去とは今日の行いであるんだ、良い行いを積み重ねると良い未来が、悪い行いを積み重ねると悪い未来になる様に人の心がけ次第で未来は変わるのだよ、いっちゃんも良い心掛けを重ねて良い未来を創るんだね」


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