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精霊の森  作者: 富幸
32/60

宇宙人 3

 僕は話題を変えて

「君夏休みにどこにも行かないの」

「先程も言ったけど行けないのよ」

「だったら君毎日家に居るの」

「そうよ」

「僕は今年の夏休みはママが病気だからお爺ちゃんちに来てるけど去年までは家族旅行をしていたよ」

「いいわね」

 と彼女は、少し寂しそうに頷いた。

 僕達二人は、このような、取り留めのない話をしながら楽しい時をすごした。

 どのくらい時が過ぎたか、町の方から正午を告げる鐘の音が聞こえてきた。

 この音を聞いた彼女は、すくと立ちあがり

「わーもうお昼私帰らなくちゃ」

「僕も」

「今日は、有難う楽しかった。私先に帰るはね」

 と手を振りながら帰って行った。

 僕も彼女を見送ると、ゆっくりと立ちあがり家に足を向けた。

 楽しい時を過ごした余韻を味わいながら。

 お昼を済ませて神社に上がり神木に耳をあてた。

「いっちゃん今日は、良い事があったんだね、心が躍ってるよ」

 と精霊が指摘した。

 僕は、素直に

「わかるの、お昼まで彼女と話をしていたんだ」

「そうだろうね」

「でも彼女は君を恐れる心は有るみたい」

「彼女の心は、自分自身の物だ、それは自分が克服しなければならない問題であって他人が干渉出来る事では、ないのだよ」

 僕は、彼女が精霊を恐れる心を持ちながらも巫女として否応なしに精霊と向き合わねばならない気持ちを察すると何故か、はしゃいだ心に水を掛けられた思いだ。


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