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木霊 2
そこにハイパードライブの調査船がワープして来たのである。
ワープは当然の事ながら空間を捻じ曲げて飛ぶ航法である。
その影響で赤色恒星の爆発を誘発したのかもしれない。
星の終焉を迎える大爆発は新たな星の誕生の序章であり宇宙における生と死の営みである。
超新星の大爆発は空間にも影響を与え重力波としてさざ波の様に宇宙空間に広がって行くこの重力波がワープ中の調査船に重大な影響を与え最新鋭の調査船を破壊したのである。
船内に警告が鳴り響き退船命令が出た。
私達五名は近くに在った緊急脱出用の宇宙ボートで脱出し短ワープを繰り返しながら超新星の爆発から逃れたが、おそらく脱出できたのは我々五名のみで他の十名は船と共にしたものと思われた。
宇宙ボートはこの広い銀河の中に我々緑星人が生存出来る星を見つける事が出来るだろうか一抹の不安もあった。
「いっちゃん・いっちゃん」
と呼ばれて僕は、神木から耳を離した。
すると今まで宇宙空間に居た僕が現実の世界に引き戻された。
キョロキョロと辺りを見回したがそこは、夏のむせかえる中にも凛とした静かな神社の風景があった。
僕は、再び神木に耳を付けると先程の宇宙の風景と違って少年の姿の精霊が微笑みながら立っていた。




