僕の小さな世界
この王国は僕の小さな王国だ。
それと同時に、僕の小さなお城でもある。
お城の王様は僕で、王様はお城から出てはいけないんだよ。
ゆっくりと目を瞑り、どたどたと階段を駆け上がる音を聞く。
王様をこの城から連れ出そうとする悪人が近づいてくる音だ。
そして、いつものようにドアと叩き大きな声を発する。
「みんなも待っているから、外にでないかい?」
僕はひとりぼっちの王様だ。
誰も僕の味方なんていない。
「みんな君の味方だから、安心して出ておいで。待ってるから」
そう言って悪人はドアの前で息をひそめている。
目をますます強く瞑り、両手で耳をふさぐ。
何も聞こえないよ。見えないよ。
僕はこの王国のこの城の王様だ。
味方は、誰もいない。