隣のパーティー
「そりゃお前、コミュニケーションが苦手なヤツは、MMORPGに向いてない。決まってるだろうが。アライアンスを組まずに、でかいボスの攻略は不可能だぜ。普通は、ギルドメンバーで固めて戦わないと無理だろ」
ここは第6層のオークション会場の隣のカフェ。
そいつ、リビンは、さっき、小麦たちのパーティの隣に座ったばかりだけど、いきなり「おまえ」よばわりで、小麦にそう言った。
各プレイヤーの名前は、顔の右側に常時表示れているフローティング3D透過ディスプレイに表示されている。JOB、レベル、HP、MP、何階層目まで進んだかもそこに表示されている。
名前の左側には、人間のプレイヤーには緑色のエメラルドのアイコンがついている、ワガハイたちAIには真珠のシルバーアイコン。モンスターには赤いルビーのアイコンがついている。店主などのNPCには黄銅鉱のくすんだゴールドのアイコンがついている。
見たところ、リビンの年齢は小麦と同じくらい。髪はきれいに金色に染まっていて、ツンツンに立てている。
リビンたちは先ほど、ワガハイたちの隣のテーブルに、自分たちのパーティーメンバ―5人と若い女性の支援AIとで雑に腰掛けるなり、
「おれはリビンっていうモンクなんだけどさあ、あんたら、珍しい構成だね。女の子2人に、ちっちちゃな男の子。それだけ?」
と馴れ馴れしく話しかけてきたのだ。
リビン以外のメンバーは女性2人、男性2人。装備からみてレベルは8くらいか。おそらく、モンクのリビンがリーダーで、戦士、レンジャー、白魔導士、黒魔導士。バランスのよさそうなパーティだ。
「なあ、 小麦ちゃん、第7階層以降は、あんたらのような3人パーティじゃ、無理だよ」
「このパーティ編成で来られるのは、この第6階層くらいまででしょうね」白魔導士のリン先生がリビンに同意した。
「おねえさん、わかってるじゃん。」
リビンは言った。年上のお姉さんに対して、失礼な奴だ。