ダンジョン第5階層
ここはVRMMORPG「100層の天然水」のゲームの中。
一つのパーティは支援AIを1体というか、1プログラム連れて歩くことができる。
今年、女子高校に入学したばかりの田畑小麦は、冒険の友として、ワガハイを選んだ。そして、ワガハイの外見は、同じ年齢の男子高校生に設定した。気軽に話せる感じがするからだそうだ。名前はまだ決めてもらっていない。顔はイケメンすぎると緊張するから、自分の通っている高校の、同じクラスのお笑い担当に似た感じの顔を選んだらしい。お笑い担当でも、イケメンは結構いるもんだけどな。
選んだと言っても、ワガハイ達支援AIは、リアルの午前零時に並列化されて、個別のパーティ支援に必要な最小限のデータ以外は、全部同じになる。
だから、どのAIを選んでも結局同じっつうー、なんとなく寂しい話なんだけどね。
ワガハイの支援している女子高生、小麦のパーティは3人編成。
小麦のパーティの残り2人のメンバーを紹介しておこう。
小麦の弟。大豆。6歳。今年、小学校に入学したばかり。
それから、大豆が通っている小学校の担任のリン先生。23歳。メガネをかけてて、ショートカットで大人しそうな人だ。小麦は大豆の保護者会に行って、RPG好きのリン先生とエ〇エフの話で相当盛り上がったらしい。その後、お茶したり、こうして一緒にパーティを組んだりする仲になった。
さて、いきなり5階層の話から始めちゃって悪い。
いま、小麦のパーティは、この下の6階層に行くための「黒門」の前に来てるからね。
「黒門」ってのは、ボス部屋の扉のこと。ここでボスを倒さないと、下の階層には行けない。
開けた後どんなボスが待っているかは、開けてからじゃないと分からない。
ワガハイは戦闘能力はゼロ。しかし、小麦たちが戦う時は、ワガハイはいつも小麦たちと一緒だ。