表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/40

神様は時にとんでもない間違いを犯すようだ

初投稿です。勝手が分からず色々戸惑っておりますが、よろしくお願いいたします。

――――入学式

私立南高校、1年3組教室


「今年の新入生レベル高いよな?」

「分かるわ」

「おい見ろよ、あの子。すっげえ可愛い」

「どこどこ!?」

「うわ⋯⋯、まじかよ」



「でもあれ、男だよな?」



⋯⋯周囲の視線が集まっているのを感じる。不躾な視線に苛立ちを募らせながら窓の外に目をやった。春先の柔らかい日差しが、まだ冷たい教室の空気をじんわりと暖めていく。


俺は日女川梓ひめかわあずさ

男なのか女なのかよく分からない名前をしているが、れっきとした男だ。身長170センチ。趣味は読書、得意科目は数学。小学生の頃から空手を習っている。

最近の悩み⋯⋯というか、小さい頃からの悩みだが、俺はよく、女に間違えられる。

 

俺は生まれつき女顔だ。これは自分でも十分理解している。少しくせのある茶髪に細い眉、桃色の唇。日に当たるとすぐに赤くなる白い肌。ぱっちりとした二重の瞳と長いまつ毛。体つきも男にしてはかなり華奢で、食べても鍛えても全く太くならない。


は? うらやましい?

冗談じゃない!! 俺は本気で困ってるんだ!



この容姿のおかげで俺がどれだけ苦労してきたことか⋯⋯。


まず、15年間で一度も彼女ができたことがない。告白してくるのは野郎だけ。外を歩けば男からナンパされ、暗がりに連れ込まれたことも多数。性別を言っても大体の奴が「それでもいいよ!!」とか叫びながら襲いかかってくる。(幸い俺は空手をやっていたので大事には至らなかったが) 服を買いに行けばレディースブランドのモデルに勧誘され、写真を撮られた経験もある。極めつけは男子トイレに入るたびに悲鳴を上げられることだ。



年をとるにつれて分かった。神様は、時にとんでもない間違いを犯すのだと。



「なあ、あいつ今年の新入生の中で一番可愛くない?」

「俺告っちゃおうかな」

「え? 男なのに?」


もはや呪いである。

小さい頃ならまだ許せた。しかし大きくなると屈辱に他ならない。この状態を打破するため数々の方策を打ち立ててきたが、全然効果は出なかった。


ならせめて高校からは!と気合を入れてきたが、どんどん増える廊下の人だかり(大半男)といい、聞こえてくる会話(俺のメールアドレスがどうとか)といい、あまり期待はできなさそうだ。



入学早々だが、家に帰りたい。



日女川梓ひめかわあずさ

本作の主人公です。口が悪く、人付き合いが苦手なコミュ障(ただし本人は否定)男子高校生。


友達少ないので仲良くしてやってください。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ