-7-
衝撃的なニュースが入ってきた。
亮祐の熱愛報道だ。
相手は茜ではなく、人気女優の谷垣舞子だった。
茜は各局で流れているニュースを遮った。
そんなはずはない。
でも、もしこれが本当だったら・・・・。
茜は涙が止まらなくなった。
亮祐はそんなこともつゆ知らず、指輪を持っていた。
次の食事の時に茜にこれを渡し、プロポーズをしよう。
実は亮祐と舞子は幼馴染で、いまいちセンスのない亮祐に舞子が指輪を選んであげたのである。
「人気女優が選んだ指輪だし、茜もきっと喜んでくれるよな。」
そう独り言を言いながら、次に茜に会う日を楽しみにしていた。
その時、茜からメールが入ってきた。
食事の誘いだった。
数日後、亮祐は茜と料亭に入った。
茜の実家だ。
手汗をかいてきた。
料理の味は、初めて会った時と同じようにわからなかった。
「ねえ、」
亮祐と茜が同時に言った。
「あ、茜、先に良いよ。」
「いや、私は後で良いわ。先、話して?」
言おう。
結婚してください。
必ず、幸せにするから。
結局顔が真っ赤になっただけで、何も言えなかった。
小心者の自分が恨めしかった。
「いや、やっぱり・・・茜、先に・・・」
茜がまっすぐ亮祐の目を見つめた。
亮祐は胸の高鳴りを感じた。
逆プロポーズってヤツか。初体験だ。
そんな亮祐の期待は、あっけなく砕け散った。
「ねえ、別れよ?」