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二人が到着したのは亮佑の自宅。
俗に言う『高級マンション』だ。
茜はエントランスホールで絶句した。
「うわ…」
エレベーターで亮佑の部屋まで行く。
「速…」
亮佑が部屋のドアを開ける。
「広…」
亮佑が笑った。
「茜、大丈夫?
さっきからびっくりしすぎ。」
茜はまだあちこちを見回している。
「だって、こんな凄いところ初めてなんだもの…世界が違う…」
可愛い。
それ以外の表現は見当たらない。
そんな事を思いながら、亮佑は茜の様子を眺める。
茜は興味津々でいろんな所を見ている。
キッチン、浴槽、リビング、クローゼット。
どれも高級マンションに相応しい物ばかりである。
「わ。」
茜が小さな悲鳴を上げた。
亮佑が声のする方へ言ってみると、茜はベットルームにいた。
「広いのね…テレビでしか見たことないようなベットだわ!」
亮佑は無表情のまま茜に近づく。
茜は迫られていることに気付いた。
「え、ちょっと、待って!
ねえって…わあ!」
茜はバランスを崩した。
「茜!」
亮佑は慌てて茜を抱き寄せるが間に合わず、ベットの上に二人とも倒れた。
体制的には、押し倒している感じだ。
二人はしばらく見つめ合い、笑った。
そして、亮佑は茜の唇に自分の唇を重ねた。
実のところ、これが付き合い始めてから初めてのキスだった。