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PLATONIC LOVE  作者: たまご
5/17

-5-

付き合い始めで二ヶ月が経過したものの、ほとんど会うことが出来ない。



亮佑(りょうすけ)は初めて自分の職業を恨めしく思った。





だが、朗報が入った。


茜がホエールズのホームゲームを見に来るらしい。

取材で来るらしいので、試合前にグラウンドで会うことも出来る。




いつ以来だろうかと考えるだけでも、亮佑はうきうきした。








平常心を保ちながら亮佑はグラウンドに入る。


茜は既に取材をしていた。



先輩のインタビューが終わったらしいので、茜に近づいてみる。


「あら、木村さん。」



亮佑は思わず笑ってしまった。


「何?そのよそよそしさ。」


茜はわざとらしく咳をした。


「あのねぇ…私は取材で来てるのよ?

それに日本球界一、二位を争う人気者が熱愛なんて周りにバレたら、私達取材陣に揉みくちゃにされちゃう。

私、まだ平穏な生活がしたいなぁ…」


茜はちらりと亮佑を見た。

そのしぐさが可愛くて、彼女に言われたままにする他なかった。



「あ、そういえば。

はい、これ。郁海(いくみ)からのお土産。

頑張れよって。」


茜はそう言って紙袋を手渡す。



中を開けてみると、入っていたのは梅干しだった。



「…梅干し?」


「…最近口内炎で悩んでるそうよ…」




どうでも良い情報である。





一通り取材を終えた後、亮佑は茜を食事に誘った。


が、茜は断った。



「夕食付きのホテルを予約したの。

結構高めでね…」



茜が黙った。


「茜?」



茜は「しまった」という顔付きをしていた。


「予約し忘れた…。

いっ、色々あったの!

私アナウンサーじゃないから、この番組以外にも、結婚式場の司会とか、色々やってるんだからね!

昨日一つ入って、後で予約しようと思ってたの…。

…まだ空いてるかな…野宿だったらどうしよう…。」




亮佑はちょっとびっくりした。


茜もドジな所があるんだ。


自分より二つ年上で、頼れるお姉さんな感じの茜。


意外な一面を見れて亮佑はちょっと得した気分になった。




「じゃあさ、今日うち来る?

そんなパパラッチみたいなのいないって。

茜心配しすぎ。

ま、でもバレたならバレたで良いんじゃない?

良いお付き合いをしてます、って。」



野宿がそんなに嫌だったのか、涙目だった茜は満面の笑みを浮かべた。



「ありがとう」






亮佑は一ヶ月前、一人暮しを始めたばかりだった。

なのでまだ部屋は汚れていない。




良い時期に一人暮しを始めたもんだ、と亮佑は茜を乗せた車の中で感心した。


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