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PLATONIC LOVE  作者: たまご
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-4-

朝ごはんは、昨晩茜から渡された弁当。

さすが料亭の娘だけあって、味は抜群であった。

おかずを見ても栄養バランスはバッチリだ。



亮佑(りょうすけ)はぽつりとつぶやく。


「…こんなお嫁さんが欲しいな…」





亮佑は弁当は飲み物だぜ、と言わんばかりの勢いで流し込み、急いで携帯を手にした。


『おはようございます、木村です。

昨日はありがとうございました!

マジ美味しかったです!

良かったらまた今度も』


「いかん!図々しい!」



亮佑は頭をかきながら、もう一度文章を打つ。


『おはようございます、木村です。

今朝の弁当本気で美味しかったです。』


「…味気ない…」



もう一度、思い付いたままに打ってみる。


『おはようございます、木村です。

今朝の弁当、すごく美味しかったです。ホントです!

こんなお嫁さん欲しいなって思いました。

よかったら結婚を前提に』


「…」



これが嘘のない正直な感想である。

だが、昨日の今日でいきなり「結婚を前提に」なんて、チャラ男の常套(じょうとう)手段にしか見えない。



「あー、やめやめ!」



亮佑はメールを削除しようとした。


気付いたら画面が白くなっていた。




送信してしまったのである。



亮佑は画面に負けないくらいに白くなった。



「さらば、俺の一目惚れ…」


机に倒れ込んだ。




直後、茜からメールが返って来た。


亮佑は食らいつくように画面を見る。



『宮本です。おはようございます。

昨日はよく眠れましたか?

今日の試合、頑張ってくださいね!


お弁当の感想、わざわざありがとうございます。

お世辞でもすごく嬉しかったですよ(^ ^)

今日の木村さんの力になれるように祈ってます。』



中途半端な誤送信メールにこんなにも優しく返事をしてくれた茜が、心から愛しかった。


チャラ男に見られてる恐れを振り払って、亮佑は返信をした。



『お世辞じゃないです!本気です!

嫁さんの話も…ホントに』


「はぁ!いかん!

俺のイメージ急降下じゃん!」



亮佑はまた消す。


正しくは消したつもりだった。




どうやら携帯の機種を変更したのが原因のようだ。


「何で俺機種変したんだろ…」



また携帯が鳴った。


『大丈夫、木村さんには、もっと料理の上手な素敵な女性が必ず現れますよ!』




亮佑は一大決心をした。

今日、告白する。

いや今だ。


勇気を出して打ってみる。


『宮本さん、俺はあなたが好きです。

一目惚れってやつかな…初めてだからあんまりわからないですが…。

今日のフェニックス戦でホームラン打ちます。

もし打てたら、俺と付き合ってくれませんか?』



茜がこのメールを見ても引かない事を願って送信した。


すぐに返事が返ってくる。


『私で良いなら、ホームラン打たなくても良いんですよ?』



「…」


これはアレか、OKなのか。


慌ててメールをする。


『付き合ってくれるって事ですか?

試練も無しに?』



返事は早かった。


『試練って…(笑)

必要なんですか?私にはよくわかりませんが…。

それに私はフェニックスのレポーターなんですから、亮佑さんが打ったホームランが決勝打、なんてなっちゃったら困ります。』



「亮佑さん」



つまり、これは、想いが通じた、という事だ。




亮佑は頬が緩んだ。


『それでも、俺は茜さんのために打ちます。』


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