表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PLATONIC LOVE  作者: たまご
2/17

-2-

ドアのノック音が聞こえた。

おそらく彼女だ、と亮佑(りょうすけ)は思う。



「どうぞ。」



女性が深々と頭を下げて入って来た。

やはり綺麗な人だ。


「もう体調は大丈夫ですか?」


まだ体調を気遣ってくれている。

有り難い話だ。



ふと亮佑はこんな事も思った。

さっきシートに落ちたときもそうだったが、普通プロ野球選手と間近であったら「キャーッ」とか言うよな。

でも彼女はすごく落ち着いている。


…知られてないのかな…。



「ありがとうございます。

もう大丈夫ですよ。

心配かけてすみません…。

ところで、ご職業は何ですか?」



女性は微笑みながら答える。


「申し遅れました、私、宮本茜と申します。

地元の…フェニックスのローカル番組のレポーターをやっています。」



それで、だ。

選手には見慣れているわけだ。



「あ、そうでしたか。

妙に落ち着いていらっしゃるから…」


茜が笑った。


「そんな事ないですよ?

目の前にいるのはあの木村選手じゃないですか。

すごく緊張してます。」


亮佑は日本代表に選ばれているのだから、知っているのは当たり前なのだろうと思った。

でも何となく嬉しかった。



「あ…あの…」


「はい?」


茜が笑顔で返事をした。

彼女の笑顔は眩しかった。


「今日ご迷惑をおかけしたお詫びに…」


「あれ?亮佑じゃん。

何してんの?」



亮佑が振り返ると、ドアの所に郁海(いくみ)が立っていた。


「郁海さん!」



すると思いがけない光景が目に入って来た。


「茜…」


「郁海!どうしたの?」


「いや、ミーティングルームから声がしたからさ、何やってんのかなって思って。

そしたら亮佑の姿が見えたからさ…まさか茜もいるとは思わなかった。

二人とも友達だったの?」


「ううん、正しくは今日から友達、かな。

たまたま私が介抱してあげたのをここまで感謝してくれて…恐縮だわ。」



二人は笑顔で会話を続ける。

まるで恋人同士のようだ。

亮佑はいても立ってもいられなくなって、二人の会話に割り込んだ。


「お二人は…付き合ってらっしゃるんですか?」



茜が苦笑いをしながら答えた。


「違いますよ。

私と郁海は入団以来の知人です。」


郁海もまた、苦笑した。


「まだそんな事言ってんのか。」


部屋の空気が何故か重く感じた。

だがそう感じたのは亮佑だけだったようだ。


「よし、茜と亮佑と三人で飲みに行かないか?」


亮佑は迷ったが、茜が「あら、良いわね。」と返事をしたので行くことにした。





行き先は郁海の行きつけのお店だった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ