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挙式は着々と進んでいった。
茜の祖父母が来ていたので順調に進んではいる。
だが茜の笑みはぎこちない。
一番晴れ姿を見てほしい人がいないのだ。
ついに両親へ宛てた手紙を読むときが来た。
亮佑は茜と両親が来てくれることを期待した。
「…お父さん、お母さんへ…」
茜がゆっくり話始めたときだ。
茜の両親がやって来た。
ベタな展開だ。だが様子がおかしい。
宮本父の顔がおにきりのようになっている。
「茜…遅れてごめんなさい…」
宮本母が微笑みかけながら言った。
「おか…何、この顔…」
茜は宮本父の顔を見て呆気にとられている。
宮本母はやれやれといった感じでため息をついて言った。
「お父さんがねぇ、死んでも行かないって言うのよ。
行きたいなら勝手にしろだの、離婚してやるだの。
頭に来ちゃっ張っ倒したのよ…そしたらコレ。」
宮本母はクスクスと笑ったあと、真剣な顔付きで亮佑を見た。
「わかってあげてください。
たった一人の娘が嫁に行くんですから…寂しいだけなんです。
お客さんには良い息子だって自慢してるんですよ。
…幸せに、なりなさい。」
宮本父の登場と母による説明で爆笑の渦に包まれた会場は一転、涙を流す人も出て来た。
「命を賭けて、茜さんを幸せにします。」
世界一のプロポーズだった。