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PLATONIC LOVE  作者: たまご
12/17

-12-

茜はついにアナウンサー試験に合格し、フェニックスの地元のアナウンサーとなった。





就職祝いにこれを渡すのは気がひけるけど・・・。



亮祐(りょうすけ)はそう思って、半年前に渡し損ねた指輪を握り締めていた。


茜から電話が入る。



『もしもし?』



亮祐は変な汗をかいてきた。


「あっ、もしもし?木村です。」


『そりゃわかるわよ(笑)

アナウンサー試験通ったの!

そっちに行けたら良かったんだけど・・・父が大反対してね。』



亮祐はまた嫌な汗をかいた。


茜の父は同じDNAを持っているのかと聞きたくなるほどコワモテで、マッチョだ。

フェニックスの最大のライバル、ホエールズがとにかく嫌いで、初めて料亭に行ったときも亮祐は煙たがられた。




なので、茜と付き合っていることはまだ秘密なのだ。


ちなみに茜の父としては、郁海(いくみ)と結婚して欲しいそうだ。



「・・・お父さんがね・・・。

あ、そうだ。今度実家にご挨拶に行こうと思ってるんだけど。」


『亮祐、正気?

きっと生殺し状態になると思うけど・・・』


「う、わかってるよ。

でもさ、結婚するのに挨拶しないのはナシだろ。」


『・・・?

今何って?何するって?』




亮祐は初めて茜にメールを打った時と同じくらい緊張した。

声が裏返りそうだ。


「・・・結婚。」


見事に裏返った。



亮祐は咳払いをし、一度深呼吸をして話を続けた。



「これから先も、ずっとそばにいて欲しい。

洒落た事なんて言えないけど、俺と結婚してくれないかな。」


茜は受話器の向こうで笑っていた。


『嫌って言ったら、どうなるの?』



冗談ではなかったら非常に困る話だった。

亮祐は慌てて反論する。


「!

てかさ、あの舞子とスポーツ紙に載ったやつ、あれさ、お前のために指輪買おうとして、でも俺そういうのわかんなくて、だから舞子に頼んで、」



茜が声を上げて笑った。


『冗談よ、冗談。

へー・・・実はそんな話だったのね。

私はどんな指輪でもありがたーく受け取るつもりだったのよ?』


「・・・?

今何って?何するって?」


『それさっき私が言ったやつじゃない(笑)

私で良いなら嫁に貰って、って言ったの。』


「・・・言ってなかったじゃん・・・」


『意訳よ意訳。』






2人は電話を切った後も心がほんのりと温かかった。

これから最愛の人と一緒にいることのできる喜び。

それをかみ締めるたびに、頬が緩んでしまう。



ただ、2人の前に立ちはだかる宮本父は強敵であった。

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